内容説明
愛した人たちは次々と逝き、今はただ、その声のみが耳に親しい。一方で、血縁につながる若者の生命のみずみずしさ。人は振りかえりたくないことも、忘れきってしまいたいことも、死ぬまでには思い出させられることがある…。自らの愛と生を深く見つめる長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あつひめ
76
瀬戸内さんの正直な思いが綴られているのだろう。年を重ね自分の回りの人たちが彼方の世界に旅立ち始め自分の行く末を思い浮かべる。家族を捨てて年下の男に走った…と言われるけれど、きっと人生のボタンが違っていたのかもしれない。生まれたときから人生のストーリーがあって様々なトキメキや苦しみがあちこちに仕込まれている。寂聴さんがお孫さんと話す様子は波乱万丈な女性ではなく一人の愛されるおばあちゃん。長い時間で余計なものは削ぎ落とされたさっぱりした感じを受けた。瀬戸内さんの心はブラックホールみたいだ。2014/01/17
優希
44
寂聴さんの正直でありのままの想いが語られているように思えました。歳を重ね、やがて彼方の地に行く。その時間の中で、寂聴さんは生き方が決まっていたのではないでしょうか。2021/11/15
