感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
41
決起将校たちが望んだ昭和維新。国の将来を憂えての暴力的な行動が実を結ぶことはなく、その思惑とは真逆に、国家、天皇に対する「反乱」という処分が下され、隊を率いた青年将校たち二十一人が、銃殺、自決という形で事件後に亡き人となる。青年将校たちには新婚も含めて妻や子供があった。獄中で書かれた遺書に込められた家族への思い。そして、長きに渡って、死んだ夫の思いを胸に世間から隠れるようにして生きるしかなかった妻たちの思い。その妻たちへ焦点を当てた記録。2016/06/05
Willie the Wildcat
32
「至誠」。事件後の謎の4日間、非公開軍法会議、そして遺族への赦免未通知など、葬られた真実。翻弄される運命の14人の未亡人と家族。理不尽さにも言い訳しない姿勢。心身共に、居場所を探し続けていたように感じる。中でも、香田登美子氏。敢えて選んだ茨の道。人生最後の1年が救いであったと心から信じたい。時勢の中での選択とは言え、少なからず男の身勝手さに後味が悪い・・・。2015/03/13
浅香山三郎
18
澤地さんの本の代表作。書かれた1973年は、2・26事件の36年後であるので、証言が生々しく、また、妻たちの生き方、夫と過ごした時間の長さ、事件の捉へ方も違ふ。事件そのものに参加した将校たちの思想的背景や心性、それを利用した陸軍の者たちの狡猾さにも目を向けながら、事件後や戦後の妻たちを縛つた周囲の眼の圧力と苦難を丁寧に描く。別の著書で、澤地さんは病気を押してかなり綿密な取材をしたことを回顧してゐるが、書き手の感性も滲み出てくる名著である。2018/11/10
双海(ふたみ)
17
「私はやられたら(処刑されたら)直ぐ血みどろな姿で陛下の許に参りますよ」という磯部。しびれる。2014/05/26
Madoka.@書店員復帰を目指し中!
7
2月26日に読もうと決めていた本なので今日読んだ。今から77年前に二二六事件を起こした青年将校たちの奥さんの話だが、様々な葛藤があるんだなと文章から感じた。この世に残された家族というのは他人の目に晒され、生きながらの地獄を感じながら生きる事になる。日本を変えよう、良くしようと立ち上がった青年将校たちの行動は現代の私たちには批判をする事は出来ないし、してはいけないと思っている。だが、奥さんたちは大変だっただろう。夫を亡くし、自分一人で子供を育て守りぬかなければならないのは辛かったと思う。2013/02/26