中公文庫<br> 私の食物誌

中公文庫
私の食物誌

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  • サイズ 文庫判/ページ数 241p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122001725
  • NDC分類 596.04
  • Cコード C1195

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

もりくに

16
猫の散歩の付き合いに読む本は、2~3頁で話が終わるものがよい。本棚から探し出したのは、数十年ぶりの吉田健一。初出が書かれていないのではっきりしないが、内容から昭和20~30年代と思われる。久しぶりに、彼の句読点の少ない、うねるような文章を読み進めて、彼の大好きな「酒」に酔ったような、うっとりした気分になった。もっとも、彼の文章に「悪酔い」する方もいるだろうが。今の「グルメ本」なら、鮮明な写真と、数段劣る「グルメ」自慢の文章で紹介されるものが、彼の文章だけで見事に表現されていて、食べたい気持ちにしてくれる。2017/09/13

giant_nobita

5
吉田健一のだらだらとした文章と2ページ弱のエッセイは相性が悪いのだろう。店の名前やレシピが書かれていなかったり曖昧な知識で済ませている箇所が多いため、資料としての価値が薄いだけでなく、味についての感想も貧弱で、料理のイメージが浮かんでこない。文章を味わおうにも各回の分量が少なく落ちも投げっぱなしの回が多いため物足りなさが募ってくる。2019/01/30

Gen Kato

2
読み終えるのがもったいなくてちびちび楽しむ吉田健一節。「海で取れるもので本当に旨いのは必ずどこかで海の匂いがする」「山葵だけが深山に咲く花の気品を保っている」「昔はよかったのではなくて今が積極的に悪いので」「ハムの匂いがするハムと卵の匂いがする卵で食事をすることで朝の光も朝の光になる」。全篇、にやにやし通し。酒好きとしては次の文章にしびれた。「酒はいつでも今が一番旨いと思って飲むのでなければ嘘である」2016/11/11

yuma

1
全国津々浦々の食にまつわる随筆集。「金沢」よりも随分読みやすかった。 著者が語るように、ほんとうに良いものはそれが生まれた土地で、そっとしておくのが良いのかもしれない。土地と結びついた食。売り方にもヒントがあるのでは。2016/06/12

madhatter

1
何度目か不明の再読。これほど酒が呑みたくなる随筆も珍しい。語られているのは、吉田氏が各地で出会った数々の美食・美酒であり、それらへの対し方である。それぞれの味の表現は、語れないほど素晴らしい。だが、本書が書かれた時点で、これらは既に失われつつあるものだったことも確かだ。故に、氏の語り口が、美味を讃えるばかりではなく、時折喪失への子供じみた八つ当たりになるのもよくわかる。これらを更に後になって知った読者としては、氏の体験した美味に思いを馳せ、失われたことを惜しむしかできないのが切なくなる一冊。2010/11/07

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