内容説明
「日本人の生活が健康なら日本も健康だ」時流に阿らぬ自由人の日本論。『堕落論』収載。
目次
第1部 日本人論―戦中編(日本文化私観;死と鼻唄;青春論;日本人について―中島健蔵氏へ質問;あきらめアネゴ)
第2部 日本人論―戦後編(堕落論;続堕落論;通俗と変貌と;欲望について―プレヴォとラクロ;恋愛論;悪妻論)
第3部 文学論(FARCEについて;茶番に寄せて;枯淡の風格を排す;デカダン文学論;文学のふるさと;未来のために;教祖の文学―小林秀雄論)
第4部 政治と人間(咢堂小論;戦争論;チッポケな斧;もう軍備はいらない;風流)
第5部 小説(風と光と二十の私と)
著者等紹介
坂口安吾[サカグチアンゴ]
1906~55。昭和前期~中期の小説家、随筆家。新潟県生まれ。少年時代から自由奔放でありながら極度にはにかむ性格で、新潟中学を2年次に落第、東京の豊山中学に転校し、卒業後小学校の代用教員となる。東洋大学印度哲学科に入学し、アテネ・フランセに通う。同人誌に執筆した作品が牧野信一の目にとまり認められた。早くから純文学に目ざめたが、歴史小説、推理小説、卓抜な評論、エッセイと幅広く執筆し、その多彩な才能が評価され、終戦直後に発表した『堕落論』は社会に大きな影響を与えた。太辛治、織田作之助らとともに「無頼派」と呼ばれた。脳溢血で死去。48歳だった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すぎを
1
やッと読み終わった。完全に魅入られてしまった。特に戦後日本人論、文学論は何度も読む価値大いにアリ。付録小説の「風と光と~」もオモシロかったな。堕落、デカダン、今のおれに生きる道を示すように思えた。これはおれのバイブルですよ。洋画「ファイト・クラブ」にほぼ全く同じ思想が見られるので安吾信者はそちらもおすすめ。2015/07/09
Koki Miyachi
1
思索するということを忘れていた自分に気付かされた。感受性を高めて思索する。深めた考えをかたちにする。知的に生きるための基本形。2013/09/13
nobu0326
0
読書学生時代に読んだ本安吾大先生の物の見方に大影響を受けた作品。 当時の当たり前な画一的ものの考え方に一撃ヲ食らわされた。2003/01/01
うどん
0
二十年ぶりくらいに安吾の本をちゃんと読んだ気がするけどべらぼうにおもしろいじゃないか。あきらかに昔はなんも分かってなかったなと思う。2011/10/17
なの
0
面白かった!文章が力強くて影響受けそう。日本文化私観と続堕落論と通俗と変貌とが特に好き。定期的に読み返したい本。ただ、あまり興味なかったり語られてる物に関する知識が皆無な箇所はかなり流し読みしちゃった。 好きな箇所 ただ読物は健康人のオモチャであり、文学は病人のオモチャだというだけの こと、しかし、この違いだけはハッキリさせなければならぬ。 魂の病人とは何者か。 ただ、人間ということだ。人間として生きており、自我を見つめて生きており、自我の真実な生き方を考えている人であるにすぎない。2022/05/13