中公新書<br> 軍都を歩く―基地と住民の地域生活史

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中公新書
軍都を歩く―基地と住民の地域生活史

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  • サイズ 新書判/ページ数 320p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121029188
  • NDC分類 395
  • Cコード C1221

出版社内容情報

軍事施設が置かれた街・軍都。
東京から徐々に郊外、地方へと列島各地へ拡散した。
軍隊は地域に被害と便益をもたらすが、本書は善悪を超え、身近に基地がある日常の複雑な現実を生活者の目線から描く。

下宿先との親交、料亭での大騒ぎ、弾丸を拾う子ども……
当時の記憶は、戦後の自衛隊誘致やまちづくりにつながる。

藤沢、新宿大久保、霞ヶ浦から呉・江田島、南西諸島まで。
学術研究の上に現地取材を加え、現代社会を照らす歴史まちあるき。


【目次】

はじめに―列島津々浦々に軍都あり

序章 軍用地の分散化の近現代素描
旧城郭の軍都/郊外に拡大する多様な軍用地/「新型軍都」の建設/地方軍用地の戦中戦後の連続性/自衛隊のアウトリーチ/経済成長と補償型政治/分散化の帰結/基地を受容する文化/まちかどの地域生活史

第一章 湘南海岸に眠る海軍と米軍の記憶〈神奈川県藤沢市辻堂〉
地図に見出す旧軍用地/横須賀海軍砲術学校の演習場/民家への分宿/利益を伴う交流/藤沢の軍都化/幻の東京侵攻作戦/SFCで米軍を迎撃/旧軍用地の開拓/米軍演習場チガサキ・ビーチへ/大惨事となった駅の爆発事故/冷戦下の上陸訓練/不発弾暴発による子どもの犠牲/高まる返還運動/背景としての住宅地化/湘南はマイアミに、米軍基地は沖縄に/基地県としての神奈川

コラム・歴史の歩き方1 街の歴史調査インフラを活用する

第二章 公園化する演習場〈軍都東京・新宿戸山ヶ原〉
軍都新宿の群像劇/皇居周辺から西への分散/演習場は遊び場/屋内射撃場/怪人二十面相の隠れ家/子どもたちにとっての戸山ヶ原/不気味な科学研究所/軍人の街/東京名所/軍用地が自然を残す逆説/文人が愛した戸山ヶ原/空襲から逃げる/避難場所としての演習場/現在の戸山を歩く/演奏場から演劇場へ/戦後も遊び場に/まちかどに残る痕跡

コラム・歴史の歩き方2 生の声と文字の声を聴く

第三章 「空都」と自衛隊のスペクタクル〈茨城県・霞ヶ浦〉
土浦市の飲食店に残る歴史/飛行場建設業者/飛行機と花火のスペクタクル/国際交流さかんな「空の港」/航空隊は観光地/歓楽街の今昔/「海軍さん」の「芋掘り」/「空都」の英雄礼讃/戦争下の花火大会/軍隊による水害救援/屏風に描かれた等身大の心情/占領期の秘話/「空都」から学都へ/自衛隊誘致による復興への期待/御用商人と軍艦マーチ/自衛隊のパレード/埋没する経済効果/戦後も水害救援

コラム・歴史の歩き方3 自転車で土地の歴史をつかむ

第四章 旧軍都の平和都市と海軍・自衛隊の街〈広島・呉・江田島〉
歴史の最先端としての現在/広島の隣町には自衛隊/軍都広島の郷土部隊/ヒロシマの自衛隊パレード/軍港観光地・呉/市・商工会議所・自衛隊の三位一体/「平和産業港湾都市」か「軍港」か/製鉄所跡地を防衛拠点に/南西シフトとの関連/海軍・海自の町を歩く/江田島の海軍兵学校生徒/倶楽部とは何か/家につまった思い出/蜜柑と子馬/「下宿あります」―戦後も続く交流/軍人と御用商人の娘の結婚

コラム・歴史の歩き方4 軍用地をつなぐ道―国道一六号線・国道五八号線

第五章 過疎化のなかの自衛隊誘致〈沖縄県八重山・与那国島〉
南西シフトの現場/台湾が見える日本最西端の島/巨大墓/空襲/マラリア被害/各集落の真新しい官舎/密貿易の繁栄から過疎化へ/国際交流と自衛隊誘致/自衛隊=企業論/住民投票/賛否の背後にある声/配備後の細やかな配

内容説明

帝国日本の軍事施設が置かれていた街・軍都。東京から郊外、地方へと徐々に拡散した軍隊は、地域に被害と利益をもたらした。本書は身近に基地がある日常の実相を生活者の目線から描く。下宿先との親交、料亭での大騒ぎ、弾丸を拾う子ども…戦前・戦中の記憶は、戦後のまちづくりや自衛隊誘致につながる。藤沢、新宿、霞ヶ浦から呉、江田島、南西諸島まで。学術研究に現地取材を加え、現代の課題に接続する歴史まちあるき。

目次

序章 軍用地の分散化の近現代素描
第一章 湘南海岸に眠る海軍と米軍の記憶〈神奈川県藤沢市辻堂〉
第二章 公園化する演習場〈軍都東京・新宿戸山ヶ原〉
第三章 「空都」と自衛隊のスペクタクル〈茨城県・霞ヶ浦〉
第四章 旧軍都の平和都市と海軍・自衛隊の街〈広島・呉・江田島〉
第五章 過疎化のなかの自衛隊誘致〈沖縄県八重山・与那国島〉
終章 歴史のフィールドワーク

著者等紹介

清水亮[シミズリョウ]
1991年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員PD、東京大学未来ビジョン研究センター特任助教を経て2024年より慶應義塾大学環境情報学部専任講師。著書『「予科練」戦友会の社会学―戦争の記憶のかたち』(新曜社、2022年、日本社会学会奨励賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

65
30代の若手大学講師がかつての、そして現代の軍事基地が立地している地域社会をフィールドワークしたもの。過去の記憶を持つ者(といっても先の大戦の記憶を語れる人はほぼ80代以降でその数は減少中)の話を聞き出し、史料のある場所(博物館以外に、古くからあった店にもそうしたものは残っているとか)を訪ねて、書物などからの学びと結びつけていく。自分もよく知っている辻堂、先日訪れた土浦、以前訪ねた呉など、知った場所も新鮮な視点から語られていて有意義だった。基地に対する批判精神もあるが、頭ごなしの否定でないところが良い。2026/08/08

HANA

50
かつて軍隊が置かれていた都市「軍都」。本書はその軍都がどういったものであり、現在どうなっているかを探った一冊である。個人的に軍隊とは機密情報の塊でありどうしても不可侵の領域であるといったイメージだったのだけど、以外だったのが地元民との交流が極めて盛んだったという事。藤沢とか民家が宿を貸していたり、演習場が遊び場になっていたりとか、何となく駘蕩とした印象を受ける。霞ヶ浦とか呉・江田島では戦後との連続性も教えられたし。よく考えたら軍隊も人の集まりだから交流無くしては存続しえないという事を教えられた一冊でした。2026/09/23

kenitirokikuti

10
図書館にて。土浦市と藤沢市が拾われている。たまたま土地勘のある場所であったため興味深く読めた。土浦の場合、米軍の進駐も受けなかったし、自衛隊基地は戦前より小規模となったので、神奈川県とはだいぶムードが異なるのだな。我孫子ゴルフ倶楽部も米軍に接収されていない。土浦市桜町は現在もソープ街として有名だが、やはり基地とともに発展したんだな。海軍の兵隊は料亭・遊郭で派手に暴れたことが書いてある(棒倒しみたいなノリで)。まぁ、弁償するので容認されてたそうな。2026/09/27

まんぼう

9
軍事施設とその周辺というと無機質で物々しいイメージばかりが先行していた。でもそれだけはなくて、人対人の営みや思い、地域や経済の思惑も一緒くたに積み上がるものだということを知った。「兵隊さん」と親しく交流を深めたり、演習場は地域の憩いの場になったり。負の側面ばかりと言えないこの感じはなんとももどかしい。自治体だけでなく地元住民の軍事施設への賛否もいろいろでそんなに単純なものではないのだなと。むしろいいイメージや観光・雇用の場として歓迎する向きも多い。2026/10/05

hitotak

8
大規模な軍用地があった町の住民たちと旧軍は経済的に深い関わり合いがあり、人的交流も盛んだった。兵士たちの休日には町の有力者たちが休息するための場所を貸して食事の提供なども行い、戦争がはじまれば知り合いの兵士たちと手紙をやりとりし、その消息や戦果に一喜一憂していた。出征前の士官たちの料亭での狼藉、自由に出入りできて子供の遊び場だった演習場など、当時を知る人たちへの聞き取り調査を元に書かれた数々の記憶から、戦前の暮らしのなかで、戦争と軍隊は地域社会の成り立ちにも関わる非常に大きな存在だったことがわかる。2026/09/27

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