感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
terve
17
七支刀の銘文を読み解く際、筆者は泰始四年(二六八年)を推奨しています。また、修復不可能とされている銘文を推測し、一定の回答を与えてもいます。その手法は七支刀のみならず稲荷山古墳鉄剣や江田船山古墳鉄剣にも及び、筆者の漢文素養及び、蓋然性の高い推測を味わうことができます。七支刀は五世紀の東アジア形勢を物語る遺品として一級であるが故に、歴史を遡上する起点となり得るものでもあります。そこからどう独創していくか。歴史の醍醐味でもありますね。2019/09/07
筑紫の國造
8
学問を平易かつ魅力的な言葉で祖述できる数少ない歴史学者・宮崎市定による、日本古代史の著作。石上神宮に伝えられる七支刀の銘文を、文献学や漢文の知識から読み解いていく。専門の中国史だけではなく、広い視野を持った「宮崎史学」がたっぷりと堪能出来る。本書は七支刀の発見から始まり、その研究史を辿り、自らの見解を述べる、という構成になっており、歴史学の論文構成に必要な条件をそのまま備えている。また随所に学問研究に必要な態度について言及があり、学生にはよい教訓になるだろう。ただ、もう少しルビが欲しいところだ。2016/10/24
むむむ
2
東博の特別展に七支刀が展示されるということで読んでみた。筆者の歴史学に対する立場、信条が伝わってくる。歴史学には創造性が必要とのこと。心に留めておきたい。2020/02/23