内容説明
平野謙が絶賛し、文壇に衝撃的なデビューを飾った『パニック』およびそれ以前の同人雑誌、私家版で発表した初期短編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかふく
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1950年「印象生活」から1957年の「パニック」まで。戦争中のこと、戦後のことを、「自らの底に沈みこむように」書いた作品が多く、「パニック」や「裸の王様」以後再び回帰していく情景が既に多く書かれている。「季節」第二部や「名の無い街で」は芥川賞受賞後第一作「なまけもの」と全く同じ出来事を書いている。ただ、それら後の作品はこの巻の作品に比べて人物造形(特に名前)や視点に強く虚構性を持たせようとしている。また言語についてはエッセイで述べられる、「変らないもの」への憧れが剥き出しに書かれる(とくに「愛と翳」)。2013/09/12