感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ27
5
勲章・・それはアメリカ軍の捕虜として運命に翻弄され生き続けて帰国した彼の背中に書かれた白ペンキPW 文末で知る筆者と本人との出会い・・そこに描かれた表現に筆者の視線が光る。 昭和40年代と云えば世間では一見戦争を忘れつつあるかのような世相。帰国して更に50年余り生き延びた中村氏の性に日本兵の痛ましさが色濃い投影されている。アメリカ兵と日本兵の違い・・天皇を信じ、生きて虜囚の辱めを受けんとし・・余りと云えば哀しいギャップである。 2013/05/16
しおつう
0
吉村昭、戦史第三巻として4つの小説を収録。どれも生々しく情景が想像できる作品であったが、特に『逃亡』が印象深い。主人公望月幸四郎は運が良いのか悪いのか、数奇な運命に翻弄されつつも逃亡には全て成功している。就寝前にこれを読むと温かい布団で眠れることに幸せを感じるほどに没頭している自分があった。2013/11/27