内容説明
五人の留学僧の運命と十年を経て渡来してきた鑒真の不屈の姿を描いた「天平の甍」など昭和三十二年三月から三十五年七月までの長篇四篇を収録。
感想・レビュー
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めぐみこ
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歴史小説3作は総じて優れた文化への憧れを感じた。「天平の甍」入唐した学僧らと鑑真招聘の話。普照に贈られた甍は、唐招提寺で彼に替わり奈良の都の行く末を見守ったのだろうか。業行の執念に圧倒。「海峡」唯一の現代物。全く期待してなかったが面白かった。男女の感じ方の違いから来る擦れ違い。「敦煌」尉遅光は行動理念がブレないぶん、善人ではないが憎めない。西域への憧れと挫折と未来。「蒼き狼」成吉思汗という激しく生きた不器用な男の一生。自分の分身のようなジュチと擦れ違ったままなのが切ない。女性陣が皆立派すぎて目が眩む。2014/07/15