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バーデン・バーデンの夏

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  • サイズ B6判/ページ数 255p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784105900663
  • NDC分類 983
  • Cコード C0397

内容説明

賭博熱、情欲、嫉妬…ドストエフスキー夫妻の身を焦がすような新婚旅行と、冬のロシアを行く私の汽車旅。二つの旅が渾然と溶け合う、二つの愛の物語。ロシアに埋もれていた幻の名作。

著者等紹介

ツィプキン,レオニード[ツィプキン,レオニード][Цыпкин,Леонид]
1926年、ロシアのミンスクに生れる。ロシア系ユダヤ人で、優秀な病理学者。若い頃から散文や詩を書き始める。ソ連末期の停滞時代に書かれた「バーデン・バーデンの夏」は、国内では日の目を見ることができなかった。1982年、冒頭部分がニューヨークのロシア語週刊誌に掲載されたが、その誌面を見ることなく、数日後、56歳で心臓発作で亡くなる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

141
ドストエフスキーの妻アンナの日記を 携えての汽車の旅の物語である。 謎と矛盾に満ちたドストエフスキーの側面を 感じることができる。 著者のドストエフスキーへの想いのようなものが 溢れ出て、緩いお話になる …雰囲気だけは 素敵な 作品だった。2019/11/02

新地学@児童書病発動中

128
文豪ドストエフスキーが登場する長編。ドイツのバーデン・バーデンで一夏を過ごすドストエフスキー夫妻と、20世紀のソ連で、モスクワからレニングラードに向かう私の物語が縒り合されている。改行の少ない、息の長い文体が印象的。集中して読まないと文脈を把握できなくなる。ここで描かれているドストエスキーは立派な人間とは言い難い。気難しく、ギャンブルにのめり込み、所持金を使い果たしてしまう。それを支えるアンナは健気で優しい。ドストエフスキーの物語の方は精彩に富んでいるが、私の方の物語はやや印象が薄い。→2016/11/13

キムチ

60
ドストエフスキーへの敬意と私感を広大な景色を背景とし 旅情と錯綜した想いで織りなす絨毯の様な味わい。当時ソ連末期 執筆時点での刊行はかなわなかった。屈曲した神経の持ち主ドストエフスキーは露の自然とスラブ民族の血をない交ぜにした究極の姿だろうと感じる。「途中で頁を閉じる事を拒むかのような叙述」と述べる如く息苦しい、休みを入れて読まなければ身が持たなかった。【美しく感動的】という感慨は残念ながら狭い島国、自由国家の日本人の私には伝わらなかった。寄り添い 折り合いの連続だった夫婦の時間は他者からすると謎めく2023/04/08

藤月はな(灯れ松明の火)

39
医師であった著者の最初で最後に描いた人間、ドストエフスキーへの愛に溢れた小説。ドストエフスキーの妻の日記を携えて列車で旅する主人公。現実の風景に重なるのはドストエフスキーが息づいていた頃の時代。旅先で見栄を張りつつも思い通りに行かないと妻に嫌味と癇癪を爆発させ、賭博に嵌って借金するフュージャことドストエフスキーの情けなさ。しかし、愚かさを許し、愛する妻、アンナ。途切れもなく、交わる時代の空気は降り始めた雪を空を見上げて眺めているような静けさと暖かさがありました。2015/11/22

星落秋風五丈原

17
ずっととぎれない文章が、現在と過去を混ぜ合わせる。誰もがやっていい手法ではない。好き嫌いが分かれる作品だと思う。2013/04/12

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