新潮・現代世界の文学<br> ホテル・ニューハンプシャー〈上〉

新潮・現代世界の文学
ホテル・ニューハンプシャー〈上〉

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  • サイズ B6判/ページ数 348p
  • 商品コード 9784105191016
  • NDC分類 933

目次

「ガープの世界では、我々はすべて死に至る患者である」と、かつてアーヴィングは書いた。ここ、ホテル・ニューハンプシャーでも、人々はみな傷つき、病んでいる。ベリー家の長男フランクはホモ、次女リリーは小人症、末っ子エッグは難聴で、長女フラニーと次男ジョンは互いに深く愛しあっている。そして父親はつねに未来に生き、現実とうまく折りあえない。子供たちはそれぞれの傷を抱いたまま、父親の夢の中で成長してゆく…。外に向かって開かれたホテル―そこにはあふれるほどのセックスと暴力がある。けんか、レイプ、飛行機事故、売春、テロ。だが、にもかかわらず物語は、明るさと力強さ、不思議な美しさを失わない。一家の中の作家、つねに大きくなろうと努力し続け、『大きくなろうとして』というベストセラーでデビューし、やがて「充分大きくなれませんでした」という遺書を残して開いた窓から飛び降りることになる小さなリリーは、こう書いている。「あらゆるものはおとぎ話である」と。そしてこの物語もまた、ひとつのおとぎ話―現実というおとぎ話の中で、傷つき血を流し死んでゆくすべての人々に贈る、愛のおとぎ話である。