内容説明
お江戸深川、長屋が並ぶ「にゃんにゃん横丁」は、その名の通り近所の猫の通り道。のんびり暮らす猫たちを横目に、雇われ大家の徳兵衛は、今日も店子たちの世話に大忙し。けれども無病息災、茶でも飲みつつ猫に煮干をやれるなら、こんな日々も悪くない―下町長屋の人々をあたたかく描き出す、待望の連作集。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949(昭和24)年、函館市生まれ。函館大谷女子短期大学卒業。95(平成7)年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さなごん
31
題名に惹かれて初めての宇江佐真理さん。殺しなどはなく、切ない人情話。よもぎ猫ってどんな猫?2015/11/22
baba
30
にゃんにゃん横丁と呼ばれる猫好きの人々が住まう長屋の市井の人情話と以前読んだ時に感じたが、再読では現役を退き、子供は独立したあと残された人生を大家の徳兵衛と幼馴染が喧嘩しながらお互いをいたわりあっている姿が微笑ましく感じる。段々お仲間入りか。2015/04/03
ドナルド@灯れ松明の火
28
出てくる猫が愛らしい。「まだら」が主人公だったんだな。話す猫「るり」は可愛い。ほのぼのする話が詰まっているが、最後の「そんな仕儀」は切なすぎる。宇江佐さん本領発揮、これはとてもいい作品である。2011/02/22
ミツツ
22
舞台は猫が集まるにゃんにゃん横丁という長屋。この時代の人情や風情のあたたかさと厳しさを目の当たりする。連作短編の1話目『ちゃん』からすでに涙ぐんでしまう。それでも猫と絡めて日々生活は続いていく。2017/01/05
みさどん
20
猫たちが住み着く長屋を中心とした人情話が6編。住人がそれぞれ事情を抱えながら、日々を懸命に過ごしている。話の中心人物が変わっても、そこに暮らす人々の生活や設定は変わらないので、一人一人を他の話にうまく関わらせてあった。まだまだ自分の知らない上手な書き手さんがいるものだと、恐れ入った。昔は、ご近所さん同士世話を焼き合い、みんなで力を合わせて生きていたのだなあと、質素だけれど心の豊かな時代の在りようを楽しめた。2015/05/02