内容説明
笑いと恐怖と思想、三重仕掛けで描かれた迷宮へ…。隠された秘密を巡って同時進行する「幻想世界」と「冒険活劇」の物語。村上春樹、80年代の記念碑的長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
28
★★★★☆相変わらず、村上春樹の小説は難解である。前半で、表裏であることは直ぐにわかるのであるが、それぞれの登場人物がどの様なメタファーを指し示し、それがどこに終着していくのかが全く見えてこない。最後までこの調子は変わらず、途方に暮れさせられる事に快感を感じるか反発するかでこの作家に対する評価は大きく異なるであろうが、理解できなさをファンタジーと捕らまえれば違った観点からの面白みも増そう。2014/04/01
バルナバス
5
生まれて初めて600ページの分厚い本を読んだ。 影がかっこよすぎる。2009/08/24
みに。
4
[世界の終わり]…影と切り離される事を選択し、壁に囲まれた世界で徐々に心を失いつつある僕。[ハードボイルド・ワンダーランド]…計算士を生業とし受けた依頼が元で、破壊と暴力そして暗闇の世界に巻き込まれる私。ジェットコースターのような展開に、時間も忘れ気が付けば読了。しかし私には最後の『僕』の選択、これだけは理解出来なかった。なぜ不死=世界の終わりで生きる事を望んだのか?例え僕が産み作り上げた世界だとしても。2011/02/14
さんまるこ☆305
3
まず、サンドウィッチを作って食べました。読み終わる頃には、ウィスキーを買ってました。自分のモダン部分がなんだか刺激されました。 2012/09/30
【すとちゃん】
3
一冊の本と、これ程じっくりと向い合ったのは久々のような気がする。『世界の終り』は、自分の中の世界・死・静・閉・幻想的。『ハードボイルド・ワンダーランド』は、世界の中の自分・生・動・開・現実的。それぞれを1冊にまとめても、そこそこ面白いだろうが、全く異なった舞台の『世界の終り』と『ハードボイルド・ワンダーランド』を交互に展開していくという構成によって、面白さが増し、対比されるものが、さらに際立って感じられ、色々と考えさせられる。ページ数もそうだが、実に読み応えのある作品である。2009/07/02