内容説明
人前で話すことが苦手な女子が、なぜか漫談家に―「コトリ」という芸名をもらって仕事を始めたものの、芸も、そして恋も苦難の連続。自分を見失いかけた時、師匠の一言から転機が…現役芸人ならではの語りでときに爆笑、ときにホロリとくるエンタメ成長小説。第6回新潮エンターテインメント大賞受賞。
著者等紹介
神田茜[カンダアカネ]
北海道帯広市生まれ。昭和60年、講談師の二代目神田山陽門下に入門。平成7年、真打に昇進する。女性の心情を面白く切なく語る、独自の新作講談が人気を得ている。『フェロモン』(ポプラ社)に続く2作目の小説となる『女子芸人』で、第6回新潮エンターテインメント大賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
155
う〜ん、タイトルからついつい期待してしまった本作でしたが、正直イマイチな仕上がりかなと。もっと前面に『女子芸人』を出してきても良かったと思われるのですが、どうもそのへんのインパクトが中途半端で。主人公「琴音」もなんだかキャラがしっかりと成り立たないまま、話が進んでしまった感が否めません。『女子芸人』の悲哀を書きたいのか、苦労と幸せを対比させたいのか、単純にコメディにしたかったのか、なんともまとまりがつかめず、ちょっと残念です。題材はいいネタだと思われたので、もう少しシンプルに書いてくれたら良かったかも。2016/07/08
さてさて
148
『もう二度とひと前でしゃべるもんかと思っていた。まさかその十数年後、マイクの前に立つ仕事に就いていようとは、夢にも思っていなかった』。人前で話をすることを苦手としていた琴音。この作品では、そんな琴音が講談師としての人生を選択した先の物語が描かれていました。『芸人』の世界の舞台裏の極めて地味な現実を見るこの作品。そんな舞台裏を全く滲ませもせずに華やかな舞台に立つ『芸人』の心の機微を感じさせるこの作品。まるで神田茜さんご自身の自伝を描くような物語の内容に、リアルな「女子芸人」の生き様を見た、そんな作品でした。2024/05/31
シャコタンブルー
61
人が笑顔になって喜んでいる姿は見るのは最高だ。だから会社ではジョークやバカ話はよくするが、もちろん相手を選んで話をしている(笑)。相手を選べない場所での芸人のトークや技には感心するしかない。だが、そこに至るまでの苦心や苦悩、師匠や弟子との関係、芸人同士での嫉妬や友情があり、全てが芸の肥やしとなっているからこそと思えた。結婚式の司会でのハプニングは爆笑し、葬式の司会には涙ぐんだ。女子芸人としての生きる術、生活してゆく覚悟が全編に漂い感慨深いものがあり、そこにユーモアとペーソスが加わり楽しい読書時間だった。2022/02/07
ゆみねこ
53
芸人さん本人が書かれているだけに、細々とした楽屋話や師匠と弟子の間柄や後輩芸人との関わりなど、なるほどと思わせられるものばかり。ベテラン芸人さんのお葬式の司会を任されたときの話が良かった。2014/06/24
nyanco
53
女講談師であるご自身を少し重ねあわせ、自分のよく知っているフィールドを舞台にしたことで成功していると感じます。どのエピソードも面白かったのだが、あれもこれもと詰め込みすぎた感じが残念。兄弟子との交際が破綻した理由にふと気づくシーンや、同士のように感じていたたま吾から女は得だ…と罵られコンクールを辞退するシーン、気になった年下の男を育て後輩にカレを奪われそうになった時のコトリの様子など女なら解るな~のシーンはどれも良いだけに、ひとつひとつの話しを掘り下げてしっかり書きこんで欲しかった。続→2011/02/05