死顔

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  • サイズ B6判/ページ数 157p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103242314
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

著者の闘病と原稿への執念、最期の刻を、夫人の津村節子氏がつづる「遺作について」を併録。

内容説明

生と死を凝視しつづけた作家が、兄の死を題材に自らの死生観を凝縮し、死の直前まで推敲をつづけた短篇「死顔」。死の静謐を期し、延命措置への違和が表明されている。著者の最期とも符合する表題作など、全五篇の遺作小説集。

著者等紹介

吉村昭[ヨシムラアキラ]
昭和2年(1927年)5月1日、東京日暮里に生まれる。平成18年7月31日、膵臓癌により病没。死を覚悟したその最期が報じられ、多くの人々の共感を呼んだ。昭和41年、『星への旅』で太宰治賞を受賞。その後、ドキュメント作品に新境地を拓き、『戦艦武蔵』等で、菊池寛賞を受ける。更に歴史小説にも力を注ぎ、多彩な長篇小説を次々に発表。徹底した取材と緻密な構成には定評がある。私小説を軸に、短篇小説の秀作も多い。主な作品は、『破獄』(読売文学賞)、『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)、『桜田門外ノ変』、『天狗争乱』(大佛次郎賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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じいじ

113
「死」に真正面から立ち向かった作家・吉村昭の気骨ある姿に衝撃と感動を受けました。五編の短篇集、遺作の「死顔」は実兄の死を描いた作品で、著者の魂がより強く込めらている気がします。巻末に添えられた吉村氏夫人(作家・津村節子)の【遺作について】は、病魔と闘う夫の仕事への執念と人物像が丁寧に綴られています。晩年は、二度にわたる舌癌手術、PET検査で発見された膵臓全摘手術。夫人曰く「まもなく79歳になる彼には、きわめて苛酷な手術だった」と…。最期までペンを離さなかった吉村昭、凄い作家です。(合掌)2018/11/06

kawa

44
兄の死を描く「死顔」は、氏の死生観の一端が垣間見られる遺作。他の収録作品も病や死に関係する作品が中心で、全体に重いテーマながら、氏の持ち味である淡々とした表現が冴える。奥様の「遺作について―後書きに代えて」も印象的。  蘊蓄をひとつ。「死顔」で描かれる、兄の告別式と日程が重なった恩人の告別式は、氏に実録風小説を勧めた新潮社の斎藤十一氏のものと思われる。斎藤氏については、近頃「鬼才 伝説の編集人 斉藤十一」が発刊されていて、こちらもお勧め。2021/04/22

KEI

40
短編5編と奥様の津村節子さんの、遺作についてが収録されている。若い頃、肺結核を患い末期と言われ、当事はまだ30%ほとしか生存率が無かった胸郭形成術により生還出来た著者の死生観、死に向かう覚悟が淡々と綴られていた。死期を悟った時、いたずらに延命しない事や死顔をほんの身内以外には見せたく無いと言う心情に共感した。自らの点滴のポートすら引き抜き死を迎えた著者と、それを諾とした奥様の強さを感じた。手に取る事を躊躇していた本であったが、かくありたいと思いを強くした。2017/06/23

たぬ

34
☆4.5 最晩年に書かれた5作品+奥様の津村節子さんによる「遺作について」。入院患者に対するお見舞いの姿勢と火葬前の顔を見る見ないについては私も作者寄り。気楽にしててと見舞客が言ったところで気疲れするのは確実だし、女性なら髪ボサボサどすっぴんを見られたくないよね。「顔を見てあげて」はまだしも「撫でてあげて」は撫でたふりだけしてたな。最期は自らの手で針やチューブを引き抜いたっての、本当壮絶で潔い。2023/06/13

James Hayashi

31
遺作となった短篇と夫人の津村節子がつづった吉村先生の最期。5編の短編は死を根本においており重そう感がある。若き頃にすでに末期患者と言われていたらしいが、天命によるものか長生きされた。しかし奥様の筆による先生の死際は度肝を抜かれた。癌との戦いに延命治療拒否。親戚関係にも死顔を見せたくなかったらしい。全部を読んだわけではないが、多くに生死という根本問題を底流にした作品を作り上げ、世に問うた姿勢は日本を代表する作家といえよう。個人的には「破船」がベストだが、深海の使者、漂流、ポーツマスの旗、冬の鷹などなど極上。2016/11/18

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