島抜け

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103242284
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

弘化二年(1845)八月十日、薩摩藩領種子島から、大坂の講釈師瑞龍、竹蔵、小重太、そして幸吉の四人の流人が島抜けを敢行した。厳しい飢えと渇きに悩まされながら、粗末な丸木舟での漂流の果てに彼らがたどりついた先は、中国だった。四人は、破船した漂流民と身分を偽り、長崎に送り返される。苦難の果て、島抜けは見事に成功したかに思われたが…。講釈師瑞龍の運命の変転を描く表題中篇をはじめ、「欠けた椀」「梅の刺青」の三篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ともくん

55
吉村昭の逃亡物語は、中編になっても、あいも変変わらずスリリングな仕上がりになっている。 感情を交えずに、何故あそこまで当時の人達の心情に迫れるのか不思議でしょうがない。2021/07/17

007

15
★★★☆☆ 「島抜け」遠島刑になった罪人が逃亡する話。この類の小説では著者の「漂流」のほうが面白かった。 「欠けた茶碗」大飢饉で妻子を失った男。現代では牛肉や豚肉(いわゆる四つ足)を常食していると知ったら腰を抜かすに違いない。 「梅の刺青」日本で最初に献体をしたのが(梅毒で余命が無い)遊女だったとは初めて知った。手厚く弔ってもらえると言うのが決め手に。悲しく哀れな性だと思った。2014/06/05

さわ

8
流罪人4人が種子島から逃げる「島抜け」。凶作で食べれる物もなくなり村を出て海を目指す「欠けた椀」。明治時代日本最初の献体と解剖の歴史を書いた「梅の刺青」。死の恐怖が淡々と書いてある「欠けた椀」が不気味【図書館本】2022/05/05

ウミノアメ

7
表題作以外二編収められているが、どれも江戸末期の史実に基づいた作品である。 島抜けした罪人、餓死寸前の農民、日本初の解剖検体した人など名もなき人に照点を当てて作品にしてしまう作者は、さすがだ。2019/05/06

アメヲトコ

4
中編1篇と短編2篇を収録。表題作は著者が何度も主題とした逃亡を描いたもの。もとはたった10行程度の記録であったといい、それをここまで膨らませられるのはさすがの筆力です。明治初期における献体を描いた「梅の刺青」、遊女の境遇の哀しさよ。2021/06/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/42972
  • ご注意事項