内容説明
「暁の寺」はエキゾチックな色彩的な心理小説。各巻20歳で夭折する主人公は、すでに第一巻の貴公子から第二巻で愛国少年に、さらにこの巻ではタイの王女月光姫へと生れかわった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泥岳
3
月光姫は純文学の主人公だった。松枝と勲の生まれ変わりに相応しい、純文学的な精神の持ち主だった。それを本多が観察するお話である。2014/03/28
山本哲哉
1
三島最後の小説、4部作の第三巻。輪廻転生の主体は清顕、勲、に続きジンジャンに。それを見届ける本多は、歳をとり、地位と名誉と金を得たものの、清顕や勲の純粋な感性や行動には程遠く、ある種醜くジンジャンに恋をする。ひょっとしたら、三島は本多のようになってしまう自分を予測し嫌悪したのだろうか?2020/09/06
amanon
1
第一部、第二部との落差に驚かざるを得ない。光顕と勲の生まれ変わりであるはずのジン・ジャンの奔放で享楽的な性格は、前者二人と何と隔たっていることか。三島はあえてこういう人物像を描き出すことで、戦後社会を風刺したかったのだろうか?そして、前者二人と正反対な性格でありながらも、奇しくも同じく二十歳で、しかも、自分の思いに忠実であろうとして命を落とした二人とは違い、半ば突発的な事故で命を落としたジン・ジャンを作者はどんな思いで綴ったのだろうか?作者の死の意味とも相まって、何とも謎めいた余韻を残す一作であった。2012/12/14
kuboji
0
いまのところ一番嫌な話だった。本多が中心になってる。前半はまだよかったけど、仏教の教科書みたいになってるところについていけず…。本多が、現実を真面目に受け取れなくなったから不真面目になろうと思った、って一文が好きだったけど、年取ったあとの腐りっぷりがひどすぎる。ジン・ジャンにはホクロがあったのか結局ちゃんとわからずじまい(あったんだろうけど)だし、彼女の扱われ方/使われ方があんまり。一、二巻の主人公は「純粋」なまま早死にしたけど、生き延びた本多や槙子には澱のようなものがたまってああなってしまったのかなあ。2012/02/29
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