出版社内容情報
秘密を抱える旧家で育った少女が見つけた、古くて新しい家族のかたち。大阪万博に沸く日本。絵描きの父と料理上手の母と暮らしていた銀花は、父親の実家に一家で移り住むことになる。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る由緒ある?油蔵の家だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、少女は大人になっていく―。圧倒的筆力で描き出す、感動の大河小説。
内容説明
絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父親の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、昭和から平成へ、少女は自分の道を歩き出す。実力派として注目の著者が描く、圧巻の家族小説。
著者等紹介
遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒業。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位に輝く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
394
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第47弾、遠田 潤子、3作目です。奈良の醤油蔵を舞台にした大河家族小説の感涙作でした。思わず涙ぐんでしまいました。NHKの朝ドラの原作に良いかも知れません。前作でも書きましたが、著者は女 宮本輝のようです。少し気が早いですが、本書は2020年BEST20候補です。 https://www.shinchosha.co.jp/book/319832/2020/05/16
ウッディ
283
一枚も絵が売れない画家の父と人との関係を上手く築けず盗癖のある母の下で育った銀花は、父の実家である醤油蔵のある旧家に移り住む。生活力のない両親故に、しっかり者にならざるを得なかった銀花、厳格な祖母や我儘な叔母にひるまず、醤油蔵の当主となり、そして好きな人と結婚する決断した銀花の芯の強さがすがすがしく、旧家にまつわる暗い過去や田舎の窮屈さから漂う陰鬱な雰囲気を吹き飛ばすような、すっきりとした読後感でした。血はつながらなくても、醤油作りのように、丁寧に愛情を注ぐことで、真っ当な家族になる。2021/02/08
蒼
243
100年を超えて続く醤油蔵を守る人々の因縁と罪。少女銀花は両親が背負った因縁に絡め取られそうになりながらも、大好きな父の為に醤油蔵を守る決意をする。その決意が山尾家の因縁をほどき原罪を清めていく。「みんな苦しんで、たくさん我慢して、ほんの少し幸せを望んだだけなのに」「生きている限りかわいそうは続く」銀化が夫に語りかけるこの言葉がなぜか清々しい。ほんの少しの幸せを願って人は生きて行くんだな。2020/05/16
いつでも母さん
242
ふぅ~心地良い物語を読んだ。朝ドラを一本完結まで脳内で観たようなそんな感じ。遠田さんが紡ぐ家と女の生き方、家族の在り方が私の胸にビシッと響いた。『血は水よりも濃い』は誰が言ったのか?いや、確かに濃いのだけれど血ってなんだろね。そこに愛があれば、愛しい日々を暮らせば、それはもう家族だ。「お父さん」「お母さん」これまで数え切れぬほど言って聞いた言葉。「かわいそうに」生きてる限りかわいそうは続く・・染みて沁みて胸の奥に棲喰う蛇まで涙の海で溺れそうだ。2020/05/19
はにこ
234
醤油蔵の家で暮らすことになった銀花の半生。様々な災難や困難が銀花に降りかかる。自分を抑えてしっかりしなきゃと前を向き続ける彼女を我が子のように応援しながら読んだ。銀花は大人になり、自分の気持ちを抑えるのではなく、真摯に伝えていくことで別の家族の形を作っていく。家族は血の繋がりがあるなし関係なく、時代とともに変化しながら続いていくのだと思った。相手を「かわいそう」と思うことは、その人の立場にたって考えることなんだと感じた。人それぞれかわいそうなことってあるものね。常にそういう心を持つ人でありたいと思う。2020/10/06