内容説明
母に連れられ田舎の古びた庵にやってきた悟が出会ったのは、不思議な力を持つ美少女と生意気な少年。女と子供しか入ることのできないこの庵の役割とは?そして、殴りつけたまま家に残してきた悟の父の消息は?懐かしいのに新しい、切なくて優しい新感覚青春ミステリ、誕生。第三回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねむねむあくび♪
48
図書館の本。デビュー作なのかな!?サラサラと読めた。言葉が丁寧で素直な文章が心地よくて読みやすかった。児童書でも良いと思う作品。鈴鳴らし、との言葉で、知野さんの『鈴の神さま』を思い出した。でも、鈴の神さまのほうが面白い(笑)主人公の悟はかなり良い少年で17歳!!Σ(゜Д゜)違和感ー。中学生の設定のほうが合ってると思う。前半は話の展開にわくわくして面白く読めたけど、後半は物足りない。でも品のある文章とさわやかなキャラクターに好感を持って読了できた。今後に期待(^^)2013/10/08
チガ
19
前半のファンタジー的なお話は何と無く読んでてピンとこなくて、このまま終わるのかと思ってたら、終盤の展開で急に現実に引き戻された感がりました。ふわふわしていた雰囲気から一気に地に足がついた感じがして、不思議とこの落差が良かったです。でもミステリの要素はあまりないような…。2014/02/27
kotata
12
再読。母方の祖母の家に行った帰りに、母に連れられ立ち寄ったのは古びた庵。そこで暮らしていたのは、おんば様と呼ばれる老婆と不思議な力を持つ美少女、茅。そこに村の生意気な少年、真も加わり悟はかけがえのない5日間を過ごす。少しずつ明かされる女と子供しか入ることの出来ない庵の役割、母の心情に悟の父の消息。初夏にぴったりの一冊でサラッと読めて楽しめた。2015/06/19
黒木 素弓
10
第3回「新潮エンターテイメント大賞」に受賞した作品。夏休みに里帰りした土地での、ほんの短い間の不思議で心温まる体験。小さいころ、電気もない田舎の家の庭で、従妹たちと星を見たことを思い出した。 大丈夫って言ってくれる人が一人でもいたら、きっと人は生きていける。2017/04/27
バニラ風味
10
母と一緒に田舎に行った悟だったが、帰りがけ、母は見知らぬ庵に立ち寄り、今日はここに泊まると言う。その夜、庵に住むばっちゃに起こされ、母が夜中に出かけ、怪我をしたことを知った。悟は、いつもと違う母の様子や、自分の知らない「鈴ならし」や「預かり子」などの言葉を聞きつつ、自分が、しばらく、この謎だらけの庵に住むことになる予感を感じる。謎は謎のまま。何かが目に見える形で解決した訳ではない。毎年、一つの季節が終っていくように、人間の成長の過程で、こういう事がどこかで起こっていても不思議はないような気もした。 2014/09/01