懐郷

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103001515
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

安保闘争で負った癒えることのない傷、時代に取り残されても捨てられない故郷への執着、基地が撤退しても消せない米兵への恋慕…熱い想いを抱き、戦後転換期の巨流に翻弄されながらも、強くしなやかに人生を守り抜いた女たちを描く傑作短編集。

著者等紹介

熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部数理学科卒業。97年『ウエンカムイの爪』で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年『漂泊の牙』で第19回新田次郎文学賞受賞、2004年『邂逅の森』で第17回山本周五郎賞、第131回直木賞を受賞。仙台在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ぶんこ

48
7編の短編全てに切ない思いが溢れていました。昭和の、殆どの人が貧しかった頃の地方の人々の健気さ、一生懸命さに胸が痛くなりつつも、家族や先生と生徒の絆の深さに心癒される。昭和世代の私には懐かしく、充分物語の世界に入り込めましたが、平成世代に理解できるのかな。非正規労働者が増えた現在と、出稼ぎ、集団就職が盛んだった頃。複雑な気持ちになりました。2016/05/10

B-Beat

31
◎昭和30年代初め東北地方で時代の変遷に翻弄されながらも真摯に生きようとする人々の姿を描いた7編のエピソード集。出稼ぎ労働者や中学卒業生の集団就職、安保闘争や売春防止法の施行など当時を象徴するかのような背景描写を伴って読む者に時代の息吹を十分に感じさせてくれる読後感。当時から現在までを自身の歩みでつなぐことが出来る世代にとっては尚一層捨て難いものになるのでは。新任女性教師と集団就職をした教え子との心の交流を描いた「鈍色の卵たち」が特に印象に残る。2013/05/16

ゆみねこ

31
うっかり図書館で借りて来て読み始めたら、何だか既視感…。再読でありましたw昭和30年代の地方の村や離島での暮らしぶりを描いているものがほとんど。仙台駅裏の街娼を書いたものが一編と、学生運動で挫折した女性を描いたものが一編。わずか50年で日本は激変してしまったのだという事実を突き付けられた思いがする。2013/04/22

シュラフ

25
昭和30年代という時代を舞台に心の中に喪失感を抱えた7人の男女の物語を描いた短編集。表紙絵は「鈍行列車に乗る女」の昭子であろう。東北の平野を走る機関車。これから列車に乗って東京に行ったまま帰ってこない夫を探しにいこうと駅に向かう姿だ。東北、上野駅、機関車、駅弁・・・単語を見るだけで無性に懐かしさがこみ上げてくる思いがする。いつの時代でも生きるというのは大変であり、人はどうしようもない孤独感を抱えている。だからこそ人恋しさおぼえる。必死で生きる人々たちを優しく包んでくれるのは故郷。東北人の作者らしい短編集。2015/11/06

zanta

17
16/1/12/2016 現代の女性とは隔世の感がある。どこか優しくどこか懐かしい。自分もうっかりしている内に、こんなに時代が移ろってしまったのだなぁと感慨深い。2016/01/12

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