新潮文庫 偽りの果実―警部補マルコム・フォックス

ランキン，イアン【著】〈Ｒａｎｋｉｎ，Ｉａｎ〉/熊谷 千寿【訳】

新潮社（2015/05発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 706p／高さ 16cm
• 商品コード 9784102185322
• NDC分類 933
• Cコード C0197

出版社内容情報

スコットランド民族運動は、警察、そして国家を激震させる“不発弾”を残した。警官を追う警官、フォックス警部補の孤独な闘い。

不良巡査カーターについての調査過程で関係者が不審死を遂げる。さらにその死者と、二十五年前に事故死した民族主義活動家ヴァーナルとの関連が浮上。マルコム・フォックス警部補は、スコットランドを根底から揺さぶる、ある重大事実を炙り出してゆく――。警官の汚職・不正を追及する監察のプロフェッショナルが、忌まわしき封印を解く。世界を沸騰させる圧倒的警察ミステリ。

内容説明

不良巡査カーターについての調査過程で関係者が不審死を遂げる。さらにその死者と、二十五年前に事故死した民族主義活動家ヴァーナルとの関連が浮上。マルコム・フォックス警部補は、スコットランドを根底から揺さぶる、ある重大事実を炙り出してゆく―。警官の汚職・不正を追及する監察のプロフェッショナルが、忌まわしき封印を解く。世界を沸騰させる圧倒的警察ミステリ。

著者等紹介

ランキン，イアン［ランキン，イアン］ ［Ｒａｎｋｉｎ，Ｉａｎ］
１９６０年、スコットランド、ファイフに生まれる。エディンバラ大学卒業。『黒と青』（’９７）で英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞、『甦る男』（２００１）で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞などさまざまな賞を受賞している

熊谷千寿［クマガイチトシ］
１９６８年宮城県生れ。東京外国語大学卒業。英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[のぶ]

この本の感想を纏めると、内部の汚職を調査する警官をを主人公にした警察小説で、突出したレベルじゃないけど、７００ページの長尺を飽きることなく読ませる。個人的には標準よりちょっと上のレベル、ぐらいにしか評せない。と言うのも背景に舞台となってるスコットランドの諸問題が自分にはわからなさすぎる。もっと勉強しないと何を書いても正しくなさそうだから。これに限らずイギリスはアイルランド問題もあっていろいろ難しい国だ。

2015/08/30

[Reiko]

読み応えのある一冊だった。派手さはまったくない。地味だけど、地味に進んでいく捜査過程からどんどん話が展開していく…こんな警察小説が大好物。特に後半の怒涛の展開には目が離せなくなった。登場人物も個性がなく、主人公はあまり印象に残らない。リーバス警部の圧倒的な個性に比べると見劣りするかな。でもチームプレイで周りからは嫌がられながらも自分たちの仕事をしていく監察室のメンバーには好感が持てる。次はリーバス警部との共演。楽しみ！

2015/06/18

[bapaksejahtera]

シリーズ第二作。主人公は警察内部の監察部門で、物語の発端は隣の管内でセクハラをした警官を立件する作業を妨害をした同僚警官の調査。甚だ意気が揚がらぬ仕事であり、主人公達は出先でさんざ犬の糞のような扱いを受け、屈辱を耐えに耐えるというスタート。長い小説冒頭はこんな世界の把握に読者は只管務めなければ先に進まない。そのうちに逸脱警官を訴えた実の叔父が死に、調査は次第に監査の範囲を超え２５年前の騒乱の時代に踏込む。スコットランド民族派の停滞とそれを利する過激派。こうした過去を暴かれたくない人々。後半大いに楽しめた。

2023/01/11

[わたなべよしお]

　ハヤカワPBに続いて、短期間にイアン･ランキンを２冊も読めるなんて。ちょっと複雑な種明かしでしたが、とても面白かった。マルコム･フォックスシリーズは2作目だけど、第1作より良かったという印象だ。スコットランドの独立問題を背景に使うなど、社会性もあった。早く3作目、出ないかなぁ。

2015/05/05

[tom]

イアン・ランキンの書くミステリーなら、読まねばならぬと考えて入手。リーバス刑事の滅茶苦茶な暗さと比べると、親の介護やら妹との確執などに振り回される主人公のフォックス刑事は、少々物足りないキャラ。でもまあ、そこそこの面白さ。１９８０年代（かな）当時のイギリスの混乱した世相が興味深い。こういうところが、ミステリーを読む楽しみでもあります。次作は、リーバス刑事とフォックス刑事の競演とのこと、期待して待ちます。

2015/06/01