感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
madhatter
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読みながら、モーム自身の「ジェーン」を思い出した。この随筆において、彼が語っている内容の多くは、常識的であり、当たり前のことである。彼は本書の結語として「人生の美は、各自が自己の性質と本分とに従って行動すること以外にない」と引用する。皮肉屋モームにしては、これは拍子抜けする程当たり前の言葉に思える。しかし、その人間観察のシニカルさが彼の作品の最大の魅力だと言われるが、本当のことを喋るジェーンが機知に富む女と言われたのと同じようなことが、モーム自身にも言えるような気がする。2010/08/08