内容説明
創業三百年老舗中の老舗、丸越百貨店で、新社長の凄まじい独断専横がはじまった。旧体制派の左遷、私情による役員人事、愛人との癒着、多額のリベート要求、偽秘宝展、果ては公取委の勧告さえもはねつけ…。悪魔の王国と化した丸越は甦るのか。実際の事件を題材に「悪のカリスマ」の滅びゆく様をリアルに描いた傑作経済長編。巻末に佐高信氏との対談「カリスマ失墜の条件」を収録。
著者等紹介
高杉良[タカスギリョウ]
1939(昭和14)年、東京生れ。化学専門紙記者、編集長を経て、’75年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得て、綿密な取材に裏打ちされた問題作を発表
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感想・レビュー
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団塊シニア
40
昭和57年9月の三越事件がモデルの小説、ワンマン社長とイエスマンの取り巻きによって会社を失墜させていく様を巧みに描いてる、事実にもとづいてる経済小説 なえあではの迫力がある。2015/06/26
誰かのプリン
20
微かに三越事件の事を覚えています。特別背任で起訴され実刑判決を受けたあの事件。岡田社長もトップになりおかしくなった一人。やはり「権力は腐敗する」例に漏れなかった出来事でした。2020/02/28
はじめさん
20
1982年の三越事件がモデル。老舗百貨店・丸越でワンマン社長と、その愛人で仕入れで権勢を振るい、しまいにゃ人事にまで嘴を突っ込む女帝実業家。同期より先に課長になった33歳の青年も、気づけばマスコミや役員による社長更迭作戦に巻き込まれていた。/ 美しき社長付秘書とのロマンス。数回デートしただけで両親に紹介しようとしたり、お見合い断ったりと「俺は本気だ」オーラ全開でモーレツアタック。ちょっと引くなぁ、と思ったらラストでは。。。/ 30過ぎ役付きで未婚が人事考課に関わるとか、昭和の価値観はおそろしい。 (H282016/07/30
Shu
13
実際に事件を題材にしているだけあってリアル。新社長の独裁政治、愛人、左遷、なんでもあり。2015/03/29
y_u
7
三越の社長岡田氏がその地位についてから追われるまでを描いた小説。トップが道を誤ると、会社は路頭に迷う。公正取引委員会の勧告も受け入れず、納入業者いじめを続け、愛人の会社を不当に介入させ、不良在庫を積み上げる。挙句の果てには、公正取引委員会との和解が成立したことを記者会見で発表した際に、記者とけんか腰で突っかかってしまう。最後は、取締役会で、解任されてしまう。そもそも実績を上げて、三越の社長にまでのし上がった岡田氏。しかし、トップについてしまうと自らを見失い、経営方針を見誤ってしまう。人間とは難しいものだ。2017/03/09