内容説明
幕末維新の動乱まっただ中の慶応三年。夏目漱石、宮武外骨、南方熊楠、幸田露伴、正岡子規、尾崎紅葉、斎藤緑雨ら七人は皆、この年に生を受けた。若くして成功する紅葉と露伴、悩める漱石と子規の友情、不敬罪で投獄される外骨、早熟な緑雨の恋愛観、海外に飛び出した熊楠―膨大な文献を手がかりに、七人の瑞々しい青春と明治初期という時代の姿を鮮やかに浮かび上がらせる力作評論。第17回講談社エッセイ賞受賞作。
目次
1(エージャナイカと神経衰弱;二つの誕生日を持つ男たち ほか)
2 (七人男、東京に揃う;『当世書生気質』と『小説神髄』 ほか)
3(大日本帝国憲法発布;紅露時代の幕開け ほか)
4(紅葉館熱と東京専門学校文学科の創設;正直正太夫死す ほか)
5 (漱石の「中学改良策」;子規の入社と外骨の出獄 ほか)
6(英文学士・夏目金之助誕生する;外骨と細川家騒動とロンドンの熊楠 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
i-miya
26
2012.04.16(初読)坪内祐三著。 2012.04.12 (カバー裏) みな、この年に受けた生。 若くして成功したのは幸田露伴と尾崎紅葉。 悩める漱石と、正岡子規の友情。 不敬罪、外骨、早熟、斎藤緑雨の恋愛関係。海外へ、熊楠。膨大な文献をもとに、浮かび上がらせる七人と、明治初期という時代、力作評論。 (坪内祐三) 1958、東京生まれ、早稲田大学文学部。 2012/04/16
i-miya
23
2012.04.23(初読)坪内祐三著。 2012.04.18 いきなり慶応が明治に変わるわけではない。明治に変わったな、と人々が思うのは、(1)その最大の出来事、西南戦争、2/15-9/24、この間のこと、一つの世界が終わり、新たな世界が始まったな、と、その原因の一つが、(2)M06の徴兵令、士族のプライド、打ち砕く。2012/04/23
i-miya
18
2012.04.29(つづき)坪内祐三著。 2012.04.28(土) ◎自由民権運動の時代に大学予備門、4人入る。 紅葉、漱石、子規、熊楠。幸田露伴、菊池松軒に漢学を学ぶ。露伴、後に、同時代の誰よりも、宇宙的な広がりを持つ作品を残すことが出来たのは、この菊池が朱子学者であったことが原因したであろう。2012/04/29
ハチアカデミー
14
B+ 同じ年に生まれた文学者七人の生き様からみる、近代文学成立過程考察録。江戸時代から明治時代へ、文学も文化も変容していく中で、己がいかにして生きていくのかを手探りで探す。モデルなき社会の中で、時に病み、苦悩しながらも、生活し、少しづつ答えをみつけていく過程が清々しい。また明治時代の世相を知ることのできる文化史的なおもしろさもある。しかし何よりも、時代を描いた物語として秀逸である。惜しむらくは、尻切れトンボで終わる点。いつか書かれるであろう後半を、いまは心から待つ。子規の魅力を再発見することも出来た。2012/07/04
Bartleby
13
副題にある名前、例えば夏目漱石、宮武外骨、南方熊楠はみな同じ慶応3年生まれの同い年。この着眼点だけでも秀逸だが、そんな彼らが時代に揉まれる姿と交流関係がいきいきと活写されていて読むのをやめられず一気に読んだ。よく知られた人物だけでなく、驚くような奇人たちも登場し飽きない(上の3人も十分奇人だが)。坪内祐三本は初読。他の著書も面白そうだから読んでみよう。早い死が今さらながら惜しまれる。2022/12/05
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