新潮文庫
戦国幻想曲

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  • サイズ 文庫判/ページ数 603p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101156842
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

天下にきこえた大名につかえよ、との父の遺言を胸に、槍術の腕を磨いた渡辺勘兵衛は、信長の嫡子信忠の危機を救う武功により、「槍の勘兵衛」として一躍名を馴せた。「おれが主人には不足も不足」。己の一本気や情の深さを貫きつつも、主人の器量を見極め、選び仕えた人物は生涯で五人。武士が最も武士らしくあった、織田から徳川に至る激動戦乱の世を、槍一本で豪胆颯爽と生きた男の一代記。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

97
「おれが主人には不足も不足」。槍の勘兵衛として勇名を馳せる渡辺勘兵衛了。織田政権末期から徳川の世まで、五人の大名に仕える。卓越した軍事指揮力を持ちながら、主人の器量に不満を持ち勘兵衛は流転する。背景には父の遺言と、高遠攻めでの織田信忠への憧憬があったか。やはり勘兵衛の颯爽とした姿、筋を通す生き方、情の厚さが魅力的である。関ヶ原で廃絶された増田長盛。大坂の陣で袂を分かった藤堂高虎。天下の大戦で勘兵衛の運命も左右されたと言えよう。若くして別れた妹達のことが、生涯胸を離れぬことも哀切を生む。繰返し読みたい作品。2021/03/27

優希

85
格好良かったです。戦国ものはやっぱりのめり込んで読んでしまいます。槍の使い手渡辺勘兵衛を主人公に描かれる戦乱の世。信忠の危機を救い、「槍の勘兵衛」として一躍有名になりながらも、自らの一本気と情の深さを失わなかった姿が武士らしいと思いました。仕える主君を選び抜いたのも、自らの器量に似合った相応の主君を見極めていたからでしょう。戦国時代という、武士が最も武士らしくあった時代に、槍一本で駆け抜けた男に惚れました。2015/12/22

けやき

48
「槍の勘兵衛」と呼ばれた渡辺勘兵衛の一代記。男というのはなかなか一筋縄ではいかないなと思う生き方をしてますね。息子の長兵衛のキャラが好きですw2022/01/16

タツ フカガワ

18
戦国時代、槍の勘兵衛の異名をとった渡辺勘兵衛(実在の人物)の生涯を描いた物語。上の者が家来を評価するなら、家来も主君を評価する。勘兵衛がまさにそうで、この主の下では己の力は発揮できないし働く気にならない、と主君を次々代えていく。この豪傑の生きようと、幼いときから毒舌の息子長兵衛の好対照が面白かった。でも570ページはちょっと長かった。2020/02/07

mondo

18
池波正太郎といえば、剣客商売や藤枝梅安など時代小説の巨漢というイメージ。歴史小説を書いていることに少し驚き。この小説に登場する渡辺勘兵衛は戦国から江戸時代にかけて活躍した武将で、その生涯を描いた筋がこの小説となっている。伊東潤の小説とはまた装いが違い、池波正太郎ならではの語り口で随所にユーモアが溢れている。苦しい状況下でも、底抜けの笑いで読み手を喜ばす手管が通底している。時代考証は、最低限に抑え、人間ドラマに重きを置いて描いているところが池波正太郎らしさなのかもしれない。また、剣客商売も読みたくなった。2016/10/20

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