感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ayumi Katayama
14
動物を扱った作品はいろいろにあるだろうけれど、動物の視点が入ったものは、そう多くはないのではなかろうか。それは実に新鮮であり刺激的だった。『じっと坐っていることが出来ずに体をゆすり上げ、震わし、唇をまくって歯をむき出し、息せきあえいで嬉しそうに嗤った。』 嗤ったのは狐。「御用邸狐」という狐である。豊かな黄金の毛を纏い頭上には月を掲げて人を見下ろすその姿は、何故だろう、神々しくさえ感じる。2018/04/24
ぼぶたろう
7
戸川幸夫の本は、最高の癒しで、本を開くと自然が匂い立ってくる。これ以上の動物文学には今後出会えないんじゃないかな…と思うくらい絶妙な表現に各話が終わるたびにため息が出ます。雄大な海を感じるクジラのお話、ゴリラの飼育に命をかける飼育員のお話、サーカスの象のお話、どれもすごくよかった!この素晴らしさをもっとたくさんの人に知ってほしいです…!2022/06/17
yamakujira
6
「鰭王」「謀議」「御用邸狐」「羆の村」「吾妻の白猿神」「ゴリラ記」の6編を収録。久しぶりに図書館で借りた本。古い本だから、活字が小さく黒色が薄く、紙も黄ばんで、物理的に読みにくかったけれど、どの作品もおもしろかった。動物の生態を踏まえた上で描かれるから、どれもルポルタージュのような雰囲気が味わえる。「鰭の王」みたいな動物を擬人化した作品でも、ちゃんと動物行動学を学べていいね。実在のモデルがいる「ゴリラ記」は新田次郎を読んでるような気がした。この文庫本、定価220円だって。 (★★★☆☆)2015/10/29
荒川ながれ
4
これ中学生の時に読んだ。もう一度読みたくなって検索したら、アマゾンで中古の新潮文庫が1,999円になっていた。自宅を探したがなかった残念。2020/02/04