出版社内容情報
松本清張原作の傑作映画と、解説本を組み合わせたDVD BOOKシリーズ。本巻は橋本忍・山田洋次が脚本、野村芳太郎が監督した48年前の傑作。解説本は、見どころ、原作との違い、有馬稲子のインタビューなど。
内容説明
新婚まもない夫が金沢に出張したまま失踪した。妻は厳冬の北陸へ向かい、金沢から奥能登へと夫の足取りを追いつづける。夫は殺されたのか?占領下の日本の混沌がもたらした悲劇的な事件。“ヤセの断崖”のクライマックスシーンがその後のサスペンスの常套となった作品。
目次
映画の眼差し
あらすじと登場人物
連載 製作現場からTAKE2 俳優有馬稲子にきく「ゼロの焦点」のころ
物語の舞台 ヤセの断崖
特集 サスペンスドラマと断崖
連載 清張幻影(川本三郎(作家・評論家))
第2回 戦後の混乱がもたらした事件―「ゼロの焦点」
スタッフ紹介―監督・脚本・音楽・撮影・出演者
そのころの日本 昭和36年―映画の背景と昭和の風俗
連載 道はどこまでも(藤井康榮(松本清張記念館館長))
第2回 作家を育てた“小倉”
清張誌上検定・松本清張記念館便り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
5
1961年公開の野村芳太郎監督版『ゼロの焦点』。ワンシーンが数秒といった、あまりの展開の早さに驚かされるも、しかし原作に実に忠実なことに気付かされ、さらに驚く。ところが終盤、事件の真相が語られる場面となって、先程までのテンポが嘘のように、ゆったりとした演出でじっくり見せようとする。だからこそ、クライマックスに至るまでの女性達が背負う業や辛さがせつせつと伝わってくるのだ。哀しさに耐えながらも、気丈に事件に立ち向かう久我美子の表情がいい。また、白黒映像が、冬の北陸の厳しさとせつなさを見事に伝えている。2011/11/05