小学館文庫
武蔵とイチロー

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  • サイズ 文庫判/ページ数 221p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784094182316
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0195

出版社内容情報

剣豪武蔵は現代に通じるトップ・アスリートだった。

 スポーツ科学者であり、武道家でもある筆者が「身体意識」という独自の視点から、かたや武道、かたや野球の達人の身体を読み解く。従来の「宮本武蔵像」を一新する画期的な書。宮本武蔵の肖像画や書籍、イチローの写真をふまえながら彼らの動きの中核にあるものを解読し、共通点を明らかにしてゆく。さらには我々現代人が失ってしまった身体性と心のあり方について語り尽くす。達人の身体性は一部の天才だけのものではない。私たちすべてが達人になりうるのだ。●文庫書き下ろし

内容説明

ほんとうの宮本武蔵はどんな人物だったのか?武蔵の『五輪書』と肖像画を徹底的に分析し、その身体能力に迫った。見えてきたのは、逞しく気合に満ちた姿ではなく、『五輪書』の一文「水を手本とし、心を水のようにするのである」というように、ゆるんで脱力したまったく新しい武蔵像だった。それはイチローをはじめとした現代のトップアスリートに通じる、共通の秘密なのだ。武蔵は三五〇余年前にイチローのバッティングを予言していたのである。この二人の天才的身体運動家を通して、私たち現代人が失ったものが何か、明白に見えてくる。

目次

第1章 宮本武蔵はどういう身体をしていたか(真の宮本武蔵像に肉体から迫る;『五輪書』と肖像画からあぶり出される武蔵の体 ほか)
第2章 イチローと武蔵の体を比較する(スーパースター「イチロー」の意外なイメージ;セオリーに反したイチローの打撃フォーム ほか)
第3章 身体意識―究極の身体の深層にあるもの(武蔵とイチローの根本にある共通性;地球の中心から天へ抜ける一線―センター ほか)
第4章 身体意識と現代人(宮本武蔵の言葉は現代人にとっても無縁なものではない;極まりきった人は美しい ほか)

著者等紹介

高岡英夫[タカオカヒデオ]
運動科学研究所所長。東京大学大学院教育学研究科体育専門課程修了。幼少時より武道や気功の修行を行う。独自に体系化した「運動科学」をもとに、多くのスポーツ選手を指導している。著書多数
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クックーナ

5
平成の終わりに引退のイチロー。野球選手というよりどこかの剣豪のイメージとだぶるのは私だけじゃないだろう。宮本武蔵がどんな身体の使い方をしていたのか、五輪書や肖像画などからしか推察できないので、武術家である著者の考察に頼るしかないが、現在にいるイチローを対照とすることでその像を浮かび上がらせるアプローチは、その理解を佐くことはあるだろう。特に、横国大学教授とゆるゆるにゆるんでいた場合の時間と剣先の合成速度の実験成果は、イチローを始め古武術家たちが扱っているであろうと思われる力学を掴むのにいい資料となった。2019/06/04

AICHAN

5
武蔵は弱かったと言う人がいる。闘った相手が吉岡一門以外は無名だからだ。でも、弱かったとは私にはどうしても思えない。当時の試合は殺し合いである。それに60回以上も挑んで一度も敗れなかったのは奇跡に近いだろう(そのことを五輪の書で自慢話のように書いているのは残念。自己顕示欲の強い嫌なやつだったのではないか。だから剣禅一如の境地に到達したとは思えない)。その実績から考えれば武蔵は強かったとしか言いようがない。ただ、著者の推測通りに武蔵が脱力してハムストリングスを上手に使っていたかは誰にもわからない。2011/01/27

登戸ヤスタツ

3
イチローの身体能力や精神力を、剣豪の強さから読み解く。内容は良いと思うんだけど、出発点やら結論に至るまでの理論やらがところどころ強引。この本はまだイチローネタでついていけるけど、この人の本は、たまに宗教じみてていかがわしいのが難。最近のゆる体操シリーズあたりが取っつきやすくてオススメです。2012/11/10

AICHAN

3
武蔵の肖像画から彼の身体の特徴と能力を推測するのは強引。しかもイチローと似ているなんて…。武蔵といえば片手斬りが有名で、それができたのは物凄い力があったからだ。ただ刀は強く握った状態で振っても速く振れない。パンチなども同じ。そういう点では若いころも脱力していたろうが全身脱力となるとどうか。晩年の武蔵は相手が動く前に相手の懐に入ってポンと一本を取ったりしている。そんな芸当は相当脱力していないと無理。だからイチローのように晩年の武蔵は相当脱力していたとは思うが肖像画からそれを引き出すのは強引すぎる。2004/10/05

ありうす

1
 『五輪書』には踵に力を入れろと書いてある。剣道家にそんな話をしたら驚かれた。その答えを求めて、本書を再読。たしかにその答えは書いてあったが、それ以上に筆者の個性が出ていた。三木清が教行信証を評した如く、単に自己の教えの典拠を明らかにするために挙げられたのではなく、むしろ自己の思想と体験とを表現するために五輪書とイチローが借りてこられている。本書は「脱力」と「センター」がアルファであり、オメガである。しかし五輪書では、例えば項に力を入れよと書いてあり、単なる脱力に留まらない。研究者と実戦者の違いだろうか。2020/04/25

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