出版社内容情報
シリーズ全9巻完結編。晴明と道満の時空を超えた激闘。
道長が凛然といいはなった。すさまじいまでの気魄である。源氏武者どもはたじたじとなり、腰がひけてしまった。「左府、お覚悟!!」頼信が顔面をわななかせながら、道長の胸板に矢を射放った。同時に、一斉に矢が飛んだ。道長はおびただしい矢に全身を突き刺され、血だるまになって死ぬるかに見えた。だれもがそう思った。だが、怪異なことに、ごく至近距離からはなたれた矢は、鋼鉄の像でも射たかのように金属音を発してことごとくはじけとんでしまったのだった。(本文より)