愛について、なお語るべきこと

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  • サイズ B6判/ページ数 571p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093863414
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

彼女の本当の名前とは何か?圧巻の物語世界

ふたつの小説が、フォークナーの「野性の棕櫚」のように、交互に語られていく。
第一の小説「彼女の本当の名前」は、崩壊してしまったあとの、近未来の世界で生き残ったふたりの十代の男女が主人公。少年の名前はオサム、少女は「ギギ」と少年から呼ばれている。彼女は言葉を話すことができないが、その分、感覚が優れている。ふたりは、「アトム」と呼ばれる煙草などの稀少品をほかの食べ物と交換するために、住処にしていたビルの廃墟から、「耕す人」が棲息する冬の山のなかへと分け入っていく。結局、「耕す人」は見つからず、ふたりは遭難するも、猟師の老人に命を助けられる。狩りに出て、食料を自足する生活。しかし、ある日、老人が熊との格闘の末、命を落とす。ふたりはさらに生き延びるために、小集落を訪れるが、ある理由から、都市部へ戻る決意をするが・・・。
第二の小説「愛についてなお語るべきこと」は、旅先で消息を絶った息子・理を捜すためにタイの地を訪れた小説家・辻村に、一夜を共にした現地の謎の美女、そして彼女の同伴者の日本人カメラマンが絡み、ロード・ノベルのようにして話が進んでいく。しかし、ある日、原因不明のウィルスの猛威により、事態は急転する。
第一の小説は、第二の小説で描かれる世界が「Xデー」を迎えたあとの様子を描いているようにも読める。また、第二の小説で登場する小説家が、その後に描いた小説内小説のようなものとしても読むことができるなど、互いにリンクしています。

内容説明

近未来の世界で生き残った少年が生活をともにする、ギギと呼ばれる言葉を話せない少女。旅考で消息の途絶えた息子を探しにタイの地を踏んだ作家が出会った、ウァンと呼ばれる謎の美女。ふたつの世界が「彼女の本当の名前」を巡って、今、響き合う―。

著者等紹介

片山恭一[カタヤマキョウイチ]
59年、愛媛県生まれ。86年、「気配」で文學界新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。