内容説明
ある日突然、幼なじみ奈津の夫・憲吾が姿を消した。市子は、夫捜しに奔走する奈津から一人娘の美月を預かる。女性の影もちらつく憲吾の失踪だったが、市子も、まりも、三宅ちゃんも、究さんも、土方さんも、いつもと変わらず、美月の運動会に集まった。事態はやがて、市子の元恋人も登場して意外な展開を迎える。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年愛知県生まれ。1992年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞し、デビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なゆ
87
友情なんて言葉では括りきれない、大島さんの描く〝女どうし〟の物語。ベタベタな付き合いじゃなく、踏み込みすぎず、でも何となく気にはかけてて困ったら頼ったりできるくらいの距離感、いいな。友人奈津の夫が失踪してしまうという出来事から始まるのに、なんかもうそんなことはどうでもよくなってくる。美月の運動会がとっても楽しげで好きな場面ゲイにしとくにはもったいない三宅ちゃんがいい感じ。続編もあるらしいので、読むの楽しみです♪2015/05/28
七色一味
58
読破。するするっと引き込まれる感覚もあり、会話文と地の文とがミックスされたような部分に読み詰まるような感覚もあり──。物語の発端となる部分に、さしたる理由がないというなんともはや「人騒がせ」な感じです。各キャラの、互いの距離感が私はどうも苦手。イライラさせられる。「突っ込めよ」って思ってしまうのは、私が男だからでしょうかね…。ただ、これ最初に突っ込んじゃうと、物語自体が破綻してしまうという…。私的には、結局彼は、なにをしたかったのかがわからないし、彼の行動がわからない。(続く)2012/11/07
みっこ
50
こういう、長い時間軸で見た友達関係の話が好き!この作品の登場人物たちは互いを大切に思っているんだけど、ベタベタしすぎず程よい距離感で、読んでいて心地よかった。一応主題?のはずの、奈津の夫の失踪は、結局うやむやなまま終わるのだけど(笑)それより大きな流れに身を委ねているような、そんなお話。好みでした。私は夫と10年近い付き合いになるけど、学生時代からの友人はそれ以上の時間を共有してる。夫が私の人生に現れる前を知ってる友達。なんだかすごく不思議で、感慨深い。大切にしなくてはと改めて思いました。2015/09/10
minami
47
中学校時代の友達と大人になってからも仲良く付きあえて、気兼ねなく言い合える仲。結婚して子供が産まれて環境が変わると、疎遠になってしまう事もあるのに、奈津、市子とまりの関係は遠慮なしでさっぱりしていて、とても心地良い。奈津の夫が突然姿を消してしまい、夫探しに奔走する奈津のために、市子が彼女の娘、美月を預かる。そこからじわっと仲間の結束力がさらに強まっていくのが温かい。いいな、楽しい。それぞれの恋愛も、上手くいかなくても前向きで明るい。無意味な事なんてないよ、と優しく背中を押してもらえるような読み心地だった。2023/02/11
優希
46
淡々とした語り口ながら、優しさを感じます。全体的にあたたかい空気が流れているからでしょうね。物語の世界に浸っているのが心地良かったです。最後がハッピーエンドなので、幸せな気分になりました。2021/12/03