出版社内容情報
光源氏は多くの女性たちを愛したが、彼に抱かれた女たちは、はたして真の幸福を得ることができたのだろうか。早くから源氏にとり憑かれた著者が、作中の女たちの心に分け入って、その魂の叫びに耳を傾けたとき彼女たちは、その本音を洩らしはじめる。
『源氏物語』に魅了された著者が、原作をすっかり消化したうえで、繭糸(まゆいと)を吐き出すようにして織りあげた源氏の君をめぐる恋愛小説。光源氏に愛された女君たち、あるいは女主人の恋の苦悩の場面に居合わせた侍女たちが、章ごとにその心の内を一人称で語っていきます。 一人の男性をめぐって寵(ちょう)を分け合うことになった女性たちの、やり場のない恋情、嫉妬(しっと)や不安、怒りや哀しみ、対抗意識やあきらめなど、複雑に絡みあう感情のもつれを丹念にほぐしていった意欲作。 待望の新装愛蔵版。 <目次紹介>(上巻)桐壺/光君/空蝉/夕顔/撫子/かがやく日の宮/藤壺/若紫/葵/紫炎/朧月夜/恋闇/賢木/明石/紫/末摘花/みをつくし/松風/薄氷/初瀬/玉鬘/蛍/藤袴/常夏(下巻)初音/梅枝/藤裏葉/双華/若菜/女三の宮/柏木/葵草/ひぐらし/浮雲/春愁/輪廻/横笛/夕霧/雲居雁/萩の露/幻/夕映え/橋姫/川波/総角/宿木/花の露/浮舟/流星/夢浮橋
内容説明
もし、源氏物語の作中の女性たちが自由に語りはじめたら…。一人の男性をめぐって、寵を分け合うことになった女性たちが、嫉妬や不安、怒り、哀しみ、あきらめなど、やり場のない恋情を一人称で切々と吐露する。光源氏をめぐる女たちの多重唱。