出版社内容情報
東北の地より、生と死の意味を問う
宮城県の田舎町に生まれ、身寄りのないイサオ。一方、医者の息子である雅彦は、小学生の頃から、自分が生きていることの意味についてひそかに、 深く悩んでいた。
二人が中学生になったある時、イサオは恩師の臨終の場で、人の魂を己に乗り移らせたかのような不思議な力を見せた。そして、次第にイサオに 惹かれいった。
雅彦は、高校入試の日に、二人で旅に出ることを決意する。目的 は、イサオが産まれた瞬間に目撃したという神様のような存在=トモイを探すこ と。これが、二人の長い長い旅の始まりだった。[連載第1話~10話を収録]
【編集担当からのおすすめ情報】
『ぼのぼの』『Sink』『かむろば村へ』…30年以上にわたり、常に挑戦的な作品を発表し続けてきたいがらしみきお氏最新作、待望の第一集刊行です。連載開始にあたって、いがらし氏は「この年になって、ようやくこのテーマと物語を描くだけの『確信』を得た」と話していました。生と死、人生、祈り、奇跡、そして宗教といったものに触れてゆくこの作品は、漫画史にその名が刻まれること間違いありません。なお、仙台で震災に見舞われたいがらし氏ですが、その経験を踏まえつつ現在もさらなる深淵を目指し鋭意執筆中です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gelatin
17
★★★★(★) さすが作者本人が「描けた」と言うだけのことはある。いがらしみきおがこれまでに得てきた死と生が如実に描かれている。どんな宗教も既存の哲学も下敷きにせず、暗闇の中を手探りで求めて、そして得たような。荷物が重くて1巻だけしか買って来なかったのが大変悔やまれる。明日、2〜3巻を買ってこよう。2015/06/29
くさてる
9
苦しい。衝撃的な幕開けから、自分でも覚えのあるこどものときならではの感覚を見事に独白する主人公に惹きこまれ、それでも安易な感情移入を許さない物語の運びに、読み進めるのが苦しくなった。これはなんだか、触れてはいけない、見てはいけないものについての物語ではないのか。苦しい。2014/01/15
garth
9
ものすごくラジカルなことをやっているのだと思う。つまり、これは絵で描けないことを漫画で表現する試みだからだ。ぞくぞくするほど恐ろしい。「みんなはなにも知らないまま生きている。しかしイサオは知っていた。世界はイサオの言うとおり全部つながっている」2012/03/15
∃.狂茶党
8
東北の地を舞台に、神を求める異能の男。 年代的には作者の自伝的風景論だ。 震災前夜に始まり、震災を挟んでつづられた長編の第1巻で、迂闊なことは書けないけど、スピリチュアルなヤバさが、映画的(バンド・デシネ?)的なコマ割りと構図で描かれる。 このまま実写にできたら、すごい映画になる。 そんなすごい漫画。2022/08/30
かっぱ
8
帯びにある「東北の地で、神様を探す」という言葉に惹かれて手に取った。のめり込むように読んでしまった。人がこの世に生を受ける意味は。人が世界とどう繋がっているのか。人と人はどうやって繋がることができるのか、または、何故できないのか。神様は存在するのか。作者の「絶対に逃げないで、神様の姿を描きます」の言葉に期待。次巻以降が楽しみ。夏が待てない。漫画は若い人に読んでもらいたいと作者は言うが、おっさんでも読んだ価値ありました。2012/02/08