内容説明
花の大江戸、文政年間。「全く新しい眼鏡を作ってやる!」と意気込む男がいた。日本橋の老舗眼鏡屋の跡継ぎ息子直次郎。蘭方医を志し、長崎でシーボルト先生に師事したものの落ちこぼれ。自暴自棄になっていたところに舞い込んだ「女向け眼鏡を作ってほしい」という吉原一の美人太夫からの注文で目が醒めた。やっと見つけた自分の道をきわめるべく、再び長崎へ―。
著者等紹介
ねじめ正一[ネジメショウイチ]
1948年東京生まれ。青山学院大学中退。詩作のかたわら、東京・阿佐ヶ谷で民芸店経営。81年、詩集「ふ」でH氏賞受賞。89年、「高円寺純情商店街」で直木賞受賞
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感想・レビュー
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sai
1
眼鏡屋の若旦那の立身出世物語にしては、滝沢馬琴、シーボルトなど幕末の実在の有名人が絡むスケールが大きいエンターテイメント作品で面白く読み応えもあった。2016/02/27
みどり
0
江戸っ子の粋と言葉遊びが終始面白い一冊でした。眼鏡屋の若旦那が長崎で蘭学を学んでいたという設定から織り出される鎖国時代の江戸の日常生活、旅行風景が面白く、また蘭学の先生を尊敬するあまり、日本の秘密を先生に漏らしてしまった者達の友情、不安、緊張…後半は上手く出来すぎと思う節もありますが、全体的に江戸弁でテンポ良く、江戸にタイムスリップした気持ちになれました。2015/12/16
じゅんじー
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江戸の眼鏡屋若旦那が主人公の人情話短篇連作。色々な事件や葛藤が起こるのだがその解決場面をほとんど描かない。恋人とつきまとうストーカーとの対峙。花魁に頼まれた新しいアイディアのメガネが完成する場面。しかしそれが全く肩透かしでなくて、粋にすら感じる。ねじめ正一は教科書の六月の蝿取り紙しか読んでなかったが、他の作品も読みたくなった。2014/02/14
なおり
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江戸のスカッとした気風のような作品でした。大店物語だと思っていたら、まさかのシーボルトが登場。2013/10/26
みこと
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江戸時代にすでに眼鏡や望遠鏡があったのだ。そんな江戸時代の眼鏡屋跡取りの物語。ヒロイン小かつの小気味よいところがとても爽やかだった。軽い気持ちで読める、気分転換にぴったりの本。2011/09/08