内容説明
古代中国を舞台にした小説で独自の世界を切り拓いた作家が、初めて試みるクラシック案内。メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」や、ベートーヴェンの交響曲第六番「田園」など、人生に元気をあたえる生命力のある曲ばかりを十曲選び、解説。豊富なCDコレクションの中から、同じ曲の聴きくらべをしてコメントし、おすすめ盤を紹介する。小説の構成にも似たパーツを緻密に考察し曲の全体像をつかむ独自の切り口は、よく知っている曲も「こんな曲だったのか」と新たな感動をあたえる。
目次
第1夜 メンデルスゾーン・ヴァイオリン協奏曲
第2夜 ベートーヴェン・交響曲第六番「田園」
第3夜 チャイコフスキー・ピアノ協奏曲第二番
第4夜 ビゼー・「アルルの女」
第5夜 グリーグ・「ペール・ギュント」
第6夜 プロコフィエフ・「三つのオレンジへの恋」
第7夜 ムソルグスキー・「展覧会の絵」
第8夜 フォーレ・「エレジー」
第9夜 ブラームス・交響曲第三番
第10夜 ミヨー・「プロヴァンス組曲」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
禿童子
33
ひと頃、宮城谷昌光の中国史談小説を読みふけったことがあり、作家として評価するに足る人と考えていた。クラシック音楽ファンとして、自分が聴いて心を動かした曲と指揮者、演奏者だけを選りすぐって取り上げている純主観的な音楽評論。いわゆる音楽畑ではない人にとって大変参考になる記述が多く見られる。トスカニーニとチェリビダッケを高く評価している。正直言って個人的な好みが強く反映されているので、紹介された曲がどれもすべて良いとは感じられない。特にモーツァルトを毛嫌いしているのは、私と趣味が合わないと思えて残念。2023/04/14
KAZOO
6
これも佐伯一麦さんと同じ集英社新書でクラシック音楽のことが書かれています。ただ内容は全然異なって、佐伯さんが40曲以上あったのですが、宮城谷さんは10曲に限定しています。しかも1曲について結構CDを何枚も紹介してその良し悪しを論じてこれは、音楽評論家的な本だと思いました。結構頑固な意見を持っていてそれなりに宮城谷さんの感想も楽しめました。2013/10/07
月華
5
図書館 1999年12月発行。宮城谷さんの人生にいかにクラシックが深くかかわってきたのか、というのが感じられました。読んでいると、どんな曲なのか聞いてみたくなりました。同じ楽譜から、指揮者や演奏家でまったく違う曲になるんだ、と思いました。「ラフマニノフ」の名前から、フィギュアスケートの浅田選手を思い浮かべてしまうくらい、私のクラシックの印象はフィギュアスケートです。2016/11/03
叛逆のくりぃむ
4
ミヨーやフォーレといつた作曲家の名盤を紹介してくれる本は貴重。2014/08/21
mikimikimini
4
10曲のクラシックが挙げられています。一曲ずつを、指揮者などの違いで聴き比べた感想や、聴き比べた中での著者自身のオススメの盤が書かれています。私はクラシック初心者ですが、聴き込むと同じ曲でも随分違いが出るのだなあと驚きました。自分もどんどん聴き込んでいきたいなと、これからクラシックを聴くのが楽しみになりました。2014/05/15