星海社新書
パンクする京都―オーバーツーリズムと戦う観光都市

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784065175316
  • NDC分類 689.219
  • Cコード C0236

内容説明

日本の古都、京都。この人口150万の小さな街に、世界中から毎年5000万人以上の観光客が押し寄せている。こうした訪日外国人観光客の急増は利益をもたらす一方、観光客とのトラブル―舞妓パパラッチ・景観破壊・民泊問題―などの観光公害“オーバーツーリズム”として、いま大きく注目されています。東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京も決して他人事ではないこの大問題について、本書では、オーバーツーリズムの最前線で戦う京都住民たちの現地レポートや関係者インタビューを通して「持続可能な観光」の在り方を考えてゆきます!

目次

第1章 京都がパンクする!?(“世紀の愚策”と呼ばれた京都改造計画;花街に押し寄せる「舞妓パパラッチ」 ほか)
第2章 日本社会に蔓延する「観光客ぎらい」(観光は「おいしくない」;京都から押し出される日本人 ほか)
第3章 「京都らしさ」の正体―観光のまなざしと「古都」化する京都(京都ブランドは「観光ありき」ではなく「文化ありき」;京都観光史―京都はいつから「古都」なのか? ほか)
第4章 京都は誰のものか?(我々は観光客に何を奪われるのか;テーマパーク化する京都)

著者等紹介

中井治郎[ナカイジロウ]
社会学者。1977年、大阪府生まれ。龍谷大学社会学部卒業、同大学院博士課程修了。京都界隈で延長に延長を重ねた学生時代を過ごし、就職氷河期やリーマンショックを受け流してきた人生再設計第一世代の社会学者。現在は京都の三条通で暮らしながら非常勤講師として母校の龍谷大学などで教鞭を執っている。専攻は観光社会学。京都府美山町や世界遺産・熊野古道をフィールドに、文化遺産の観光資源化と山伏についての研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おいしゃん

35
京都に殺到する外国人観光客と京都の人々の攻防が興味深い。が、もちろんこれはコロナ前までの話。コロナ以降、外国人観光客がなくなった京都の人々はどう感じているのか、続編をぜひ読みたい。2021/05/31

活字スキー

28
今や年間5000万人の観光客が殺到する世界的観光都市となった京都。だが、京都ははじめから「観光都市」であったわけではない。歴史と文化が幾重にも織り重なった文化都市であり、首都機能が東京に移り、辺鄙な盆地という立地条件もあって経済都市としても厳しいものがあったが故に、結果的に観光業が隆盛したに過ぎない。人口を遥かに上回る観光客、それも言語や文化の異なる海外勢が押し寄せることで、本来の「京都らしさ」が損なわれては本末転倒だ。2019/11/16

崩紫サロメ

25
観光客を非難する論調の本かと思っていたら、なかなかに深い内容であった。観光客によって失われたとされる「京都らしさ」とは何なのか、どのように形成され変遷していっているのか。江戸時代における「花の田舎」と評された京都、中国大連で建設されているテーマパーク「京都人のいない京都」などを取り上げ、京都がオリエンタリズムを内在化しながら、どこに行こうとするのかを考察する。最終章「京都は誰のものか」は京都に限らず、表象を巡る問題として考えさせられる。2020/01/09

くさてる

22
観光都市として追い詰められている京都の現状を解説した一冊。観光客や京都市の対応など、どちらかを一方的に悪者にすることなく、時代の流れや現状を丁寧に解説し、そのなかで懸命に働いている当事者の皆さんの声を紹介する視点が、学者さんらしくフラットなのが好感が持てました。分かりやすい悪はここにはないのです。いわゆるオーバーツーリズムの入門書として面白く読みました。2020/01/18

haruaki

21
京都で暮らすようになってからまだ少しの新参者だが、歩けば日本語よりも外国の言葉が聞こえて当たり前な外国人観光客の多さと、生活する人達が利用していたお店がどんどん宿泊施設になるのを見てきて辟易していた。生活と観光地としてのバランスの取り方について考えながら暮らすのもここならではの暮らし方なのだろうか。今はコロナのおかげと言ってはイケナイが、京都に住んで初めて京都をやっと普通に歩けるようになった。旅の恥はかき捨てだというが、その捨てられた恥を残されていく土地に、生活している人もいるということを忘れてはいけない2020/06/15

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