講談社文芸文庫<br> 鞆ノ津茶会記

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講談社文芸文庫
鞆ノ津茶会記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 218p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784062901444
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

秀吉の暴威と隠者の酒宴。『黒い雨』に通底する最晩年の傑作

――茶会の作法や規則なども全く知らないが、鞆ノ津の城内や安国寺の茶席で茶の湯の会が催される話を仮想した――秀吉の九州攻略から朝鮮出兵へと至る時期。作家の郷里・備後を舞台に、小早川隆景に恩顧を受けた、武将や僧侶が集まる宴で噂話に花が咲き、戦国末期の生々しい世相や日常が、色鮮やかに甦る。著者の想像力に圧倒される、最晩年の名作。

加藤典洋
『黒い雨』が、原爆投下になぎ倒された戦争という「大きな物語」の中にありつつ、片隅の「小さな世界」で変わらない生命の希望を浮かびあがらせるように、この作品は、天下統一、朝鮮侵略をへて関ヶ原にいたる戦国時代の天上暴風の「大きな物語」のもと、同様にぼんやりと「位低く」光ることをやめない、何やら変わらぬ「正しさ」のありか、その平地の地温を伝える。――<「解説」より>

※本書は、1989年1月福武文庫版『鞆ノ津茶会記』、1999年1月刊『井伏鱒二全集27』(筑摩書房)を底本としました。

井伏 鱒二[イブセ マスジ]
著・文・その他

内容説明

―茶会の作法や規則なども全く知らないが、鞆ノ津の城内や安国寺の茶席で茶の湯の会が催される話を仮想した―秀吉の九州攻略から朝鮮出兵へと至る時期。作家の郷里・備後を舞台に、小早川隆景に恩顧を受けた、武将や僧侶が集まる宴で噂話に花が咲き、戦国末期の生々しい世相や日常が、色鮮やかに甦る。著者の想像力に圧倒される、最晩年の名作。

著者等紹介

井伏鱒二[イブセマスジ]
1898・2・15~1993・7・10。小説家。広島県生れ。本名満寿二。1912年福山中学に入学。中学時代森鴎外に『伊沢蘭軒』に対する質問状を書いた話は有名。17年早大予科1年に編入。23年「幽閉」(のち加筆「山椒魚」と改題)発表。『ジョン万次郎漂流記』で直木賞、『本日休診』で第1回読売文学賞、『黒い雨』で野間文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

52
先日ふくやま文学館に行った。殆ど井伏鱒二記念館と言ってよい資料館だった。そこの売店で本書が売られており、読みたくなった。井伏最晩年の長編小説と言うが、さほど長くはない。安土桃山時代の備後(広島県東部)・鞆の津。宮崎駿『崖の上のポニョ』や坂本龍馬のいろは丸事件の舞台としてそこそこ有名な港町である。そこで安国寺恵瓊や小早川隆景の家臣達が行う茶会の記録形式の物語。不思議な歴史小説だ。当時の茶会の様子(茶室、メニュー等)と武将達の雑談で秀吉~関ヶ原前夜迄を描く。何故か面白い。茶会って飲酒して飯も食うのね。2016/02/13

YO)))

19
本能寺の変の前後から秀吉の朝鮮出兵、関ヶ原の戦いの前夜までの時節に、福山は鞆ノ津で開かれた茶会の記録、という体裁で書かれていて、地場の武将たちが茶碗酒をあおりながら時勢の変転を語ったり秀吉の悪口を言ったりしている様が面白く描かれている。けっこう変な本だと思う。2021/09/06

河内 タッキー

9
本文ではさらっと話題に上がるだけだが、佐々成政の黒百合の話や、宗湛の遠浦帰帆の掛け軸の話など、気になって後で調べたら、小さな記憶のかけらが繋がり、簡素な文の奥に含まれる物語が濃密だ。何より、本能寺あたりからから関ヶ原にかけての時代を広島からの視点で見ているのが面白い。2019/05/21

A.T

9
戦国時代の戦記を茶会の中で交わされる会話等を記録した茶会記の体裁で小説にした…という凝った設定。茶会記の出席者名という形で登場するのは、当地 鞆ノ津のお館様 小早川秀秋に仕える武士の数名と安国寺恵瓊。それらの人々が朝鮮出兵から関ヶ原の合戦までの数年間の戦の合間をぬって入れ替わり立ち代り茶会に花を生け、茶を点て、飲み、酒肴を豪胆に酌み交わす…戦中閑ありの生活感がにじむ。2017/01/14

Seagull

3
茶会で供される料理や濁り酒、あるいは掛け軸や生花など、場を表現される文豪の手法はさすがと唸らされます。2014/11/08

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