内容説明
戦後二十年、経済的にも物資的にも豊かになった日本社会。東京山の手を舞台に、一つの屋敷内に住む、父母、長男夫妻、次男夫妻の世代の異なる三カップルが繰り広げる悲喜劇。主人公の長男・木俣学と、弟・修の妻・百合子の情事をきっかけに、「箱庭のようにせまく、息苦しくそのくせ形だけはととのっている」家族が、ゆっくりと、静かに崩壊してゆく姿と、その荒涼とした心の風景を描く力作長篇小説。
著者等紹介
三浦朱門[ミウラシュモン]
1926・1・12~。作家。東京都生まれ。東京大学文学部言語学科卒業。高知高等学校時代に、阪田寛夫に出会い、文学的影響を受ける。1950年第15次「新思潮」を創刊。52年同人誌「現在」に参加し、「第三の新人」の作家たちを知る。53年同人の曾野綾子と結婚。「画鬼」(51年、のち「冥府山水図」)、「斧と馬丁」(52年)で作家として出発。85年文化庁長官。87年日本芸術院会員。99年文化功労者。2004年から日本芸術院院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
46
先日ご逝去された三浦朱門氏の代表作。明治、大正、昭和と時代によって、移り変わっていった日本の「家族」のありようをうまく描いています。たまたま今話題の「森友学園」の校長一族に人物の設定が似ているので、本質とは関係ない所にばかり関心がいってしまった笑笑。2017/03/22
なが
2
曽野綾子のエッセイや小説によく出てくるご主人の小説。 痛快な皮肉屋さんでいらっしゃるようなので、読む前からファン(笑)だったようなものですが…ようやく1冊目読了。 なんだか淡々と、ままならないけど生きていく人を書いたのかなあと思いましたが、解説を読んで、自分にはまだまだまだまだ読解力がない…というか ものの考え方感じ方のパターンが足りないことを痛感。いや確かに解説が全てではないけれど。 まだまだこれからもこの方を読むぞ!2012/09/16
JVSTINVS
1
日本のイーヴリン・ウォーともいえる意欲作(ただし、結末が焦り気味なのは気になる)。木俣という名字からして(性的におかたい人のことを、木のまたから生まれた、というのは、三浦氏あたりの世代では一般的だったらしい)かなりセンスのよいユーモアであり、その一家の内部がくずおれるさまを軽快に描いた秀作で、人物造形も巧みで、とくに軽快な会話がおもしろい。2022/04/01
カオル
1
一度抱いた百合子のことを自意識過剰までに意識する学がなんだか滑稽で…インテリぶってるから余計に。解説も面白かった。2014/10/27
みんみん
1
知人おすすめの本。ちゅうと半端に歳の離れている作家さんの本は合わないのかもしれない。全てのひとたちの今後の行方だけが気になった。2013/06/14