講談社文芸文庫
文学概論

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  • サイズ 文庫判/ページ数 258p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062900294
  • NDC分類 901
  • Cコード C0195

出版社内容情報

言葉とは何か。吉田文学の成熟を示す名評論 言葉のはたらきは、精神を解放する。文学とは何かをめぐって、古今東西、はるかな時空を超えて自在に説く、吉田文学晩年の豊饒を告げる知られざる傑作評論集。

吉田 健一[ヨシダ ケンイチ]
著・文・その他

内容説明

文学は、言葉だけで築かれた一つの世界である。―シェイクスピアの詩句を諳じ、ランボーよりラフォルグを、ドストエフスキーよりプルーストを、漱石より鴎外を愛し、わが国に大人の文学の魅力を伝えた吉田健一。本書は、文学の根源を巡って、言葉、詩、散文、劇について縦横自在に語り、その働きが精神の自由を齎すものであることを明かした吉田文学の重要な結節点となった知られざる傑作評論。

目次

1 言葉
2 詩
3 散文
4 劇

著者等紹介

吉田健一[ヨシダケンイチ]
1912・3・27~1977・8・3。批評家・作家。東京都生まれ。ケンブリッジ大学中退。外交官の父吉田茂(後の首相)の任地に従って中国、フランス、イギリスで育つ。1931年、大学を退学して帰国。ポーやヴァレリーの翻訳から文学活動を開始し、39年、中村光夫らと同人誌「批評」を創刊。戦後は翻訳、評論、随筆と一挙に幅広い活動を始め、言葉による表現の重要性を唱えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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パオー

5
濃密な一冊だった。吉田健一が「自分にとって文学というものが何であるかをはっきりさせる」ことを目的として、言葉•詩•散文•劇というテーマ別に縷々と書き綴った思考の記録。一見似たようなことがひたすら羅列されているように見えるけど、冒頭の方で作者が「言い方が色々ある時、それを並べることは繰り返しでなくて、輪郭を描き出すこと」と言っているように、少しずつ視点をずらしながらあらゆる角度から『言葉』延いては『文学』についての考察を加えていく。読みづらいけど、途中で投げ出すことはきっと損になると思わせてくれる本だった。2013/05/31

瀬希瑞 世季子

3
吉田健一にとって文学は、そこにある言葉から「何かの形」で「人間を感じる」(吉田はそこに納得することを結びつけている)ことであり、読むことによる「精神の働き掛け」である。それは文学のものに限らず言葉自体が持つ効用であるから、それが働いているのならば、文学と文学ではないものを区別する必要もなくなり、言葉とともにある人間の世界を我々に解放する。吉田曰く、それが言葉であることに不満を抱かない限りは不自由を感じないこの世界の中では、巷でよく見かける"言葉にできない"ものを尊ぶといった態度も存在しないだろう。2023/08/13

西寺

1
「散文は、或は詩よりも更に多くの言葉を用いるものかも知れなくて、散文の言葉も、我々が直ぐに忘れてしまうことはない。併しそれよりも我々の記憶に残るのは、言葉が働いたということであって、散文の場合、それは或る言葉であるよりも、言葉というものがあって或る結果を我々の精神に生じたという印象なのである」2013/08/10

サルミアッキー

0
認識したものを的確に表現できる言葉を探し、言葉を緊密に組み合わせて、その生きた形で提示するのが文学である。詩でも散文でも劇でも、あるいは紀行文、歴史書、哲学書、碑文に至るまで、言葉を使うものが、生きた言葉だけで構成されていれば、それは文学である。そういう文学を読めば我々は現実を感じる。現実とは事実とは異なり、認識し、思考する主体としての人間を離れては存在しない。思考するということも言葉を離れては出来ないことであり、哲学書の難解な観念でも筆者がそれを表現するための生きた言葉を使っていれば読者にも迫ってくる2018/04/11

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