講談社現代新書
電力改革―エネルギー政策の歴史的大転換

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 245p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881456
  • NDC分類 540.921
  • Cコード C0236

出版社内容情報

3・11以降電力業と原子力政策の改革に国民的関心が高まっている。原子力発電から再生可能エネルギーの拡充に向けての渾身の提案エネルギー産業史研究の第一人者が、福島第一原発事故後の現実を踏まえながら、総合性に富んだ「これからのエネルギー政策」の最適解を提案。
日本は電力の約3割を原子力に依存してきた。原子力発電を今後どのようにすべきなのかは、長年論議が繰り返されてきた、そしてフクシマ事故が起きた。
エネルギー問題は、政府の総合資源エネルギー調査会などでも、需要の伸張に応じていかに供給するかという量的充足の視点でのみ論じられてきた。しかしエネルギーの選択は、どのような社会設計をするかという論点でもある。
著者は再生可能エネルギーの技術革新の推進を提言。
世界の発電の主流を占めるのは石炭火力であり、その状況は当面変化しない。日本の石炭火力の熱効率は世界最高水準であり、その技術を国際移転すれば、すぐにでもCO2排出量を大幅に削減できる、など地球温暖化対策にも具体的に提言。
今後の展望と現実の問題点を明らかにしつつ、エネルギー政策を再構築する。「原発反対派」か「原発推進派」かという不毛な対立を乗り越えて、原発問題を日本に問う。
著者の橘川氏は原発は「必要悪」ととらえている。そうした認識に基づき、最悪のシナリオ「東日本大震災→東京電力・福島第一原子力発電所の事故→定期検査中の原発のドミノ倒し的運転中止→電力供給の不安の高まり→高負荷価値工場の海外移転→産業空洞化による日本経済沈没」を避けるため、提言は示唆に富んでいる。

第1章 リアルでポジティブな原発のたたみ方
第2章 電力産業体制の改革
第3章 電力供給構造の改革
第4章 電力需要構造の改革
第5章 原子力政策の改革
第6章 震災被災地・釜石と原発銀座・嶺南からの視点
第7章 求められるビジネスモデルの転換


橘川 武郎[キッカワ タケオ]
著・文・その他

内容説明

日本の電力業界はビジネスモデルの大転換が求められている!緊急出版!3.11以後のエネルギー政策。エネルギー産業史研究の第一人者が電力政策の最適解を提示。

目次

第1章 リアルでポジティブな原発のたたみ方
第2章 日本の電力業の歴史
第3章 電力産業体制の改革
第4章 電力需給構造の改革
第5章 原子力政策の改革
第6章 求められるビジネスモデルの転換

著者等紹介

橘川武郎[キッカワタケオ]
一橋大学大学院商学研究科教授。1951年生まれ。和歌山県出身。1975年東京大学経済学部卒業。1983年東京大学大学院経済学研究科単位取得退学。同年青山学院大学経営学部専任講師。1987年同大学助教授、その間米ハーバード大学ビジネス・スクール客員研究員等を務める。1993年東京大学社会科学研究所助教授。1996年同大学教授。経済学博士。2007年より現職。「今後のエネルギー政策に関する有識者会議」委員。「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐっち

3
電力業界の歴史について繰り返し述べられており、肝心の電力業界をいかに改革していくのか、という点についてはあまり述べられていない。同じことを繰り返し述べており、内容は薄いと感じた。2014/02/17

パット長月

2
技術的な議論や専門用語でわからない部分もけっこうあったが、そういう所はあっさり飛ばし、日本の電力事業のコンパクトな通史として読んだ。原発とて何の理由もなく突然現れた化物ではなく、やはり歴史の必然として登場してきたことがよくわかった。電力会社を非難するものは、最低この程度の歴史は知っておかなければ恥ずかしかろう。もっとも、肝心の筆者の提言部分は、残念ながらピンとこない。それこそ、電力会社の優秀なスタッフのほうが、よほどすぐれた知見を有しているような気がする。また、最終章の釜石市の話題は、蛇足ではなかろうか。2012/06/06

shimojik

2
“リアルでポジティブな原発のたたみ方”。今年の夏の電力需給結果で、動向はかわるのだろうか。1年後、来年の夏前ごろに読み返して差分を確認したい。2012/05/12

2n2n

2
アンチ原発もアンチアンチ原発も、意見が一方的かつ原理的すぎてもう聞き飽きたぜ! って感じている人も多いと思うのだが、そういう人達にこそ読んで欲しい。本書ではあくまでリアルでポジティブな議論、つまり危険性と必要性の両面を直視し、どのようにバランスをとるべきか、という冷静な議論が展開されている。また、日本の電力産業、電力供給構造および原子力政策の歴史的文脈を踏まえた上で、今後のエネルギー政策がどうあるべきかを論じているところも興味深い。2012/03/31

かつばやし

1
日本電力業発展の歴史の分析を通して、現代の電力業界が抱える問題の解決に向けた提言を行なっている。エネルギー問題ではポジティブな対案を示さずに感情的にネガティブキャンペーンを展開するケースがよくあるため、現状を客観的に分析した上で現実的な提案を行っている点は評価できる。電源構成が火主水従(石炭火力)→水主火従→火主水従(油主炭従)→石炭&LNG火力+原子力、という歴史を辿ってきたことは、これからの電源構成を考える上での重要な観点だ。国策民営方式の限界を露呈した原子力発電は、これからどこに向かうのか…。2021/07/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/4643608
  • ご注意事項