講談社文庫<br> キルプの軍団

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講談社文庫
キルプの軍団

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  • サイズ 文庫判/ページ数 403p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062758086
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

高校生の僕は刑事の叔父とディケンズの『骨董屋』を読み進めるうちに事件に巻きこまれる。人間の悪と罪、ゆるし、癒しとは何か。「罪のゆるし」「みずからの癒し」
若い人に語りかける小説

高校生の僕は、ディケンズの『骨董屋』を読み、作中のキルプにひかれる。そして、刑事の忠叔父さんと一緒に原文で読み進めるうちに、事件に巻き込まれてしまう。「罪のゆるし」「苦しい患いからの恢復(かいふく)」「癒し」を、書くことと読むことが結び合う新たな語り口で示した大江文学の結晶。若い読者に向けて、今復刊。

キルプの軍団
 新しい文庫版のために


大江 健三郎[オオエ ケンザブロウ]
著・文・その他

内容説明

高校生の僕は、ディケンズの『骨董屋』を読み、作中のキルプにひかれる。そして、刑事の忠叔父さんと一緒に原文で読み進めるうちに、事件に巻き込まれてしまう。「罪のゆるし」「苦しい患いからの恢復」「癒し」を、書くことと読むことが結び合う新たな語り口で示した大江文学の結晶。若い読者に向けて、今復刊。

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年愛媛県生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。大学在学中の’57年「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。以後、’58年「飼育」で芥川賞、’64年『個人的な体験』で新潮社文学賞、’67年『万延元年のフットボール』で谷崎潤一郎賞、’73年『洪水はわが魂に及び』で野間文芸賞、’83年『「雨の木」を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛次郎賞、’84年「河馬に噛まれる」で川端康成文学賞、’90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、’94年には日本人として二人目のノーベル文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

141
今回の物語の語り手は大江家の次男、高校2年生のオーちゃん。もちろん、フィクションである。ディケンズの『骨董屋』を「語り」の軸として物語りは展開してゆく。ディケンズのネルにあたる元サーカスの一輪車乗りの百恵さん、その彼女とは対極の世界にいるかのような革命党派「キルプの軍団」、そして図らずもその両者に関わることになったオーちゃん。これはオーちゃんのイニシエーションの物語だ。それは大いなる悲しみ(状況に対するものと、自身の少年への訣別)と慙愧の念とを伴っていた。しかも、それは燔祭までをも必要としたのだから。2014/08/16

モリータ

8
◆'87-'88年『へるめす』連載、追加・完結の上改題して'88年刊。『懐かしい年への手紙』の直後。◆作家の次男「オーちゃん」の視点の物語。主人公は作家の弟で暴力犯刑事の「忠叔父さん」とディケンズの『骨董屋』を読み解き交流する中で、『骨董屋』を軸に『虐げられた人びと』やイブラヒムとイサクの話も引きながら映画を作ろうとする無垢な「百恵さん」と「原さん」一家に関わっていく。◆大江は新左翼の動きを横目で見、『河馬に噛まれる』連作のテーマともしている。その愚かさ・酷さを前提として、どう表現するか?次の端的な一文。2021/08/01

seer78

7
ディケンズ『骨董屋』を原書で講読することから始まる物語はやがて主人公の高校生を奇妙な事件に巻き込む。四国から上京してきた叔父と、作家である父親。元サーカスの一輪車乗りの女性と、かつて学生運動で過激派イデオローグだったその夫。主人公は叔父の依頼により女性との連絡係を引き受けた結果、森の小屋での映画作りを手伝うことになる。そこに若い活動家たちのある企みがあるとも知らず…。小説を厳密に読むことがそのまま現実を作り出し、暴力的な世界に対峙することへと読者を誘う。くどい文体が特徴のこの作家にしては読みやすい作品。2012/11/30

misty

4
ディケンズの『骨董屋』のテクストと、後半からドストエフスキーの『虐げられし人々』が物語の中心として直に出てくる、そんな長編。物語はちょっとお粗末で、大江の代表作ではないよなという感触だけど、ディケンズとドストエフスキーのテクストを執拗に絡めて進めていく物語進行は面白かった。おおむね明るいのも良い笑 2017/11/22

桜もち 太郎

4
高校三年生のオーちゃんの物語。オーちゃん家族は作者一家。平易な文章だが、かなり難しく感じた。実話から物語へ行ったり来たりと言う感じ。読んでいる途中から、あれ?もしかして活動家の物語?って思ったがやはりそうだった。学生運動当時の事を知らないので、深みを理解できなかったのは残念。ディケンズの「骨董屋」、読んでみようかな。オーちゃんのように原文では読めませんが。2016/10/02

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