内容説明
黒田藩江戸総目付役となり早や二年。半睡の見事な裁きで幾多の難事珍事は解決し、藩邸内に再び平安な日々が訪れた。「そろそろ邸内を離れ、江戸の市中で暮らしてみるか」そう思い立った半睡は、周囲の反対をよそに深川の町家で借家住いを始めた。江戸庶民と半睡の心温まる交流を描いた、珠玉の連作時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冴子
25
「海将」以来白石一郎さんのファンになり、たまたまこれを見つけましたが、実はシリーズの6作目だそうです。福岡の藩から江戸にやってきた大目付十時半睡を主人公とする連作短編集。淡々と問題を解決していく半睡が面白い。舞台が深川の小名木川沿いというのも、興味深い。他の福岡時代のも読んでみたい。2020/03/30
タツ フカガワ
14
赤坂の藩屋敷を出て、深川に町住まいする十時半睡。そのため表題作や「駆落ち者」「おんな宿」と、珍しく市井の女に関わる騒動が多いシリーズ6作目。半睡側近で十人目付のひとり二宮三太夫がいい味出してきました。2019/11/18
TheWho
13
福岡藩総目付で隠居の十時半睡が、藩内の騒動を巧みに裁く短編連作の人情時代小説で全7巻の「十時半睡事件帖シリーズ」の第6巻。前巻より引続き半睡の江戸での活躍となり、厄除けの加持祈祷の修験者の話題から福岡藩と長州藩の御用船の海難事故の顛末、藩士と盗賊との関わり、捨て子の顛末、気風の良い居酒屋女主人、援助交際の家出娘達、そして江戸の喧騒に嫌気がさした半睡等七編の江戸情緒満載の物語。次巻で本シリーズは完結するが、どのような結になるか楽しみです。2016/02/05
Ribes triste
11
福岡藩の江戸総目付役のため、出張中の十時半睡。深川で町家暮しをしたりとのんびり楽しそう。そろそろ江戸暮しに飽きたところで、再び福岡へと戻ることに。ほんわかと 楽しい事件帖です。続きも探して読んでみたいと思います。2018/03/03
文句有蔵
5
ははあ。「十時半睡事件帖」と副題にしてあるものの、福岡藩中のことだけではネタ枯れするので江戸屋敷に送ってみた。がやはりネタに限りがあるので市井に出してみた、というわけでござんすかい?成る程。そいつぁいい手を考えなすった。と思う間もなくお里帰りですかい?我ながらの節操無さにお気づきなされた?(笑)左様。続ける為に設定を変えるなど言語道断というもの。とはいえここにきてようやく作中人物が自由に動き出したところなので、その点におきまして、福岡帰りはいささか残念でござる(>_<、)2014/11/09