講談社選書メチエ<br> 戦場に舞ったビラ―伝単で読み直す太平洋戦争

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講談社選書メチエ
戦場に舞ったビラ―伝単で読み直す太平洋戦争

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062583848
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0321

内容説明

「死戦を越えて誤戦となり」、「日海空軍は何処へ行つたのだらうか」、「日本降伏せり」―。太平洋戦争で撒かれた無数の伝単=宣伝ビラ。ビルマで、フィリピンで、沖縄で兵士は伝単に何を思ったか?日米「情報戦」の実態を分析しつつ、兵それぞれにとっての「戦争」を明らかにする。

目次

第1章 「蒋介石最後的運命到了」―日中戦争
第2章 「馬鹿共眼ヲ醒マセ」―日本の進撃と米軍の反攻
第3章 “ISLAND OF DECEIT”―ニューギニアの戦い
第4章 「身ヲモッテ太平洋ノ防波堤タラン」―マリアナ諸島の失陥
第5章 「死戦を越えて誤戦となる」―ビルマ
第6章 「来る日の悶へ」―フィリピン戦1
第7章 「砲弾悪魔の如く将君達を見出して殺す」―フィリピン戦2
第8章 「日本が老人と女子供ばかりの国となってもよいか」―本土空襲・沖縄
第9章 「大東亜戦争は遂に終了致しました」―敗戦の諸相

著者等紹介

一ノ瀬俊也[イチノセトシヤ]
1971年、福岡県生まれ。九州大学文学部卒業、同大学大学院比較社会文化研究科博士課程中退。博士(比較社会文化)。現在、国立歴史民俗博物館助手(2007年4月より助教)。専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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makoto018

11
伝単とは、戦時中にまかれたりする謀略宣伝ビラのこと。比較社会文化の研究者である著者が、太平洋戦争中の伝単を収集し、戦史物などの記載を読みながら分析している。一般住民や兵士たちの厭戦気分や猜疑心を煽るのもそうだが、大本営発表しか知らない兵士たちに事実を知らせたり、「生きて虜囚の辱めを受けず」と叩き込まれていた兵士たちに降伏を促すなど、米英軍が効果的に作成していたことがわかる。戦争末期、狂信的な精神論に満ちた命令や報道よりも、米軍の伝単で兵士たちは戦況を把握していたことが記されていて、大変興味深い考察だった。2022/05/14

Toska

6
いかにもこの著者らしい目のつけどころ。飢えに苦しむ日本兵の頭上に寿司や天ぷらの写真入りビラを撒き散らす米軍のえげつなさ…と思いきや、優勢だった緒戦の日本軍も同じようなことをやっていた。「飯テロ」という言葉こそなけれ、発想としてはこの当時から存在していたようだ。最大のインパクトを与えたのが米軍の空襲予告ビラだが、これはビラの出来不出来と言うよりも、予言を自己成就させてしまう圧倒的な実力によるものだろう。2022/07/20

sfこと古谷俊一

5
日華事変から太平洋戦争の、宣伝ビラを受け取った側の反応を中心として書いている。正確な戦況を描いた写真誌や私的な手紙などのほうが、宣伝文書よりも効果的だったようである。自分で考えるときに納得するのだ、ってのは広告宣伝などでも言えることですな。2009/09/28

CCC

4
心を攻める難しさが分かる。しかしこういう状況だと、どうしても相手を貶めたくなるものなのだろうか。2015/07/02

りぃ

4
伝単自体の研究だけではなく、それを読んだ将兵(と民間人)の思いにも触れているのが特徴、とのこと。飛行機や大砲で質の良い紙のビラを一気にばらまく米英vs人力でこっそり撒きに行く日本軍の構図。拾ってきた『ライフ』やばらまかれる新聞的なビラから日本の状況、果ては終戦を知るっていう皮肉な状況。2012/07/04

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