真昼なのに昏い部屋

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062161053
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ほら、やっぱり私は世界の外に出てしまった。
「せめて、きちんとした不倫妻になろう」。東京の下町で出会ったアメリカ人のジョーンズさんと人妻の美弥子さん。俯瞰した視点から二人を描く、斬新な不倫小説。

内容説明

会社社長の夫・浩さんと、まるで軍艦のような広い家に暮らす美弥子さんは、家事もしっかりこなし、「自分がきちんとしていると思えることが好き」な主婦。大学の先生でアメリカ人のジョーンズさんは、純粋な美弥子さんに心ひかれ、二人は一緒に近所のフィールドワークに出かけるようになる。時を忘れる楽しいおしゃべり、名残惜しい別れ際に始まり、ふと気がつくとジョーンズさんのことばかり考えている美弥子さんがいた―。

著者等紹介

江國香織[エクニカオリ]
1964年東京生まれ。1987年『草之丞の話』で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。「409ラドクリフ」(1989年フェミナ賞)、『こうばしい日々』(1991年産経児童出版文化賞、1992年坪田譲治文学賞)、『きらきらひかる』(1992年紫式部文学賞)、『ぼくの小鳥ちゃん』(1999年路傍の石文学賞)、『がらくた』(2007年島清恋愛文学賞)など作品多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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ミカママ

485
「しゃらしゃら鳴る手提げ袋」だとか「はちはち太った赤ん坊」などという比喩は、わざとらしくてわたしの性に合わない。ところが前ぶれもなく「私は世界の外に出てしまった」なんていうものすごい突いた表現をされてしまうから、ついまたわたしは江國さんの作品を読んでしまうのだ。主人公の美弥子さん、わたしとは真逆にいる女性だけど、実は彼女みたいな生き方に憧れる。帯もいいな、帯だけ読んでもいいんじゃないか、この作品は。2019/02/03

ミナコ@灯れ松明の火

79
江國さんらしい綺麗な文章と、綺麗な風景。時折挟み込まれる擬態語にはっとさせられる。繊細でどこかファンタジックな世界を堪能はできるけれど、不倫の話は得意ではない・・。純粋な愛(ジェームスさんが言うところの真理)と欲望の境目は、どこなのだろう。傍観者には分かりえないものなのだろうか。もはや籠の中で守られていた小鳥ではなくなった美弥子さん。彼女なりの真理を求めて籠の外へ飛び立った途端に愛されなくなるとは、なんとも残酷な真理だろうか。2012/02/27

nyanco

75
ご主人の気持ちもわかるけれど、夫の罵りが無ければ進行しなかったんだろうな~。夫に指摘されて初めて恋だと思い込み、きちんとした不倫妻になろう…というのも真面目な彼女だからこそ。籠の中から飛び出した小鳥ちゃんは本当に幸せなのかしら…?知らなかったからこそ幸せ…っていうのも人生にはあるように感じます。少なくともジョーンズさんにとっては籠の中にいたピュアな小鳥ちゃんの方が魅力的だったようです。綺麗な装丁とおとぎ話のような文体でありながら、描かれている内容が濃い…ってところが、とても江國さんらしい作品でした。2010/04/11

野のこ

54
「むかーしあるところにおじいさんとおばあさんがいました」みたいに、ですます言葉で この物語はおもいっきり(?)現実だけどおとぎ話みたいでした。ジョーンズは美弥子を小鳥のようにたとえ、この世界ではない昏い部屋に見えない何かを感じてる。鍵をいつも開けっ放しなのは自分もいつでも外の世界へ出られるためなんじゃないのか?と思いました。美弥子は恋におぼれ世界の外側にゆき、浩は美弥子の会話を聞かず、自分だけの世界にとどまってる。この噛み合わない会話はうちら夫婦みたいでぞっとしました。世界の外側には行きたくない(笑)2018/01/23

あつひめ

53
生活に何の疑問も持たず過ごしていた時間を覆すような心のトキメキ。波風の立たない家庭が幸せかどうか?と問われればそうでないのかもしれない。夫婦はお互いをきちんと見つめあうことで成り立つ関係かもしれない。トンビに油揚げをかっさらわれるように妻を失うのはどんな気持ちかなぁ~。これが日本人の50代の男性と箱入り主婦の話だとどうも美しさに欠けるけど、外国人男性の生活習慣の違いが箱入り主婦を酸素がいっぱいの世界に引っ張り出すことができたのかも。自分の知らない世界を知ることは人生を倍楽しめることかもしれないなぁ。2011/04/14

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