光の曼陀羅―日本文学論

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  • サイズ B6判/ページ数 618p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062145435
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0095

出版社内容情報

近代文学、その血脈の底流に迫る文学評論集。
★第3回大江健三郎賞を受賞。

内容説明

折口信夫『死者の書』を起点に浮かび上がるまったく新しい日本文学の系譜、“光の曼陀羅”。埴谷雄高、稲垣足穂、武田泰淳、江戸川乱歩、南方熊楠、そして中井英夫…。此処と彼方をつなぐ文学のもつ力の本質を明らかにする画期的な評論集。折口信夫新発見資料収録。

目次

1 宇宙的なるものの系譜(宇宙的なるものの系譜―埴谷雄高、稲垣足穂、武田泰淳;耆都大雄をめぐって―埴谷雄高『死霊』論;鏡を通り抜けて―江戸川乱歩『陰獣』論;未来の記憶―稲垣足穂『弥勒』論 ほか)
2 光の曼陀羅(『死者の書』の謎を解く;光の曼陀羅―『初稿・死者の書』解説;折口信夫新発見資料;虚空の曼陀羅―折口信夫新発見資料解説;身毒丸変幻―折口信夫の「同性愛」;ユリシーズの帰還―折口信夫とアジア的世界;神と獣の間で透谷、泡鳴、迢空;青い時間―折口信夫の戦後)

著者等紹介

安藤礼二[アンドウレイジ]
1967年、東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒。多摩美術大学美術学部芸術学科准教授、同大学芸術人類学研究所所員。2002年、「神々の闘争―折口信夫論」で『群像』新人文学賞評論部門優秀作受賞。2006年、『神々の闘争 折口信夫論』(2004年)で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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COPPERFIELD

13
本文より 折口が「死者の書 初稿」によって「神道」と固く結び合わせたもの、それはキリスト教化された「仏教」だったのである。そしてその未曾有の事態を描いたものこそ、「死者の書 続編」に他ならない。折口が平田篤胤から受け継いだ「神道」。それが二つの『死者の書』を書き続ける過程において、真言密教として仏教化されたキリスト教とさらに融合されようとしていたのである。そしてこの密教化されたキリスト教を日本に伝来した者こそ、弘法大師・空海だったのである。⇒2014/04/04

susu

4
乱歩、足穂、中井英夫…近代日本文学の裏街道に位置する表現者の交通整理をした第一部もすごいが、圧巻は第二部。折口信夫『死者の書』に隠された思想的背景、人間関係をこれでもかと精査し、その思想的な射程までをも論じてゆく。この本を読んでいた一ヶ月間、異様な知的興奮を味わい続けた。新たな文学史の始まりを告げる稀有な書物だ。2009/06/03

isfahan

2
折口信夫の根っこはオカルトというかなり身も蓋もないことを情熱と尊敬をもって書いてる気がするんだが…。しかも世界的オカルトブームに乗ってたという当時の世相の解説も含めて。著者は「だからこそ、折口信夫には世界基準、世界と通じ合う力がある」と讃えるのだが、そういう讃える方をされたくない人たちもいるだろうな。2020/06/17

e.s.

0
長い。前半部は埴谷や足穂を扱った、端的に言えば、ニューエイジ文学論。後半部は折口について。戦後折口の神道の人類教化は、折口の思想的起源である、藤無染を介してのキリスト教神秘主義の受容に遡行できると論じる。こうした結末の起源への回帰は、度々説かれるが、これは貴種流離譚(=弁証法)をそのままなぞるものであって、折口の思想的可能性を狭めるものではないか。2015/10/28

galoisbaobab

0
序文と16の論考からなる日本文学論の大作。埴谷雄高「死霊」、江戸川乱歩「陰獣」、稲垣足穂「弥勒」、南方熊楠の宇宙論、中井英夫「虚無への供物」を中心に『宇宙的なるもの』をあぶり出し、折口信夫「死者の書」を中心にカレの思想『光の曼荼羅』を再構成する凄さ。 「謎」としての書物を読み解いていくこと。それはさらなる謎に出会うこと、なんだよね。 乱歩の「陰獣」しか読んでないから、その他のオリジナル読むぞ。できればこの本に登場した本達を全部制覇したいな。(どんだけ時間がかかるんだか)それにしても難解だった(T T)2014/05/05

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