講談社文芸文庫<br> アメリカと私

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講談社文芸文庫
アメリカと私

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984790
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

内容説明

著者二十代最後の年、一九六二年より二年間のプリンストン滞在記。この間、公民権運動の高揚、キューバ危機、ケネディ暗殺等、激動期を迎えていたアメリカ社会の深部を見つめ、そこに横たわる自他の文化の異質性を身をもって体験する。アメリカという他者と向き合うことで、自らのアイデンティティの危機を乗り越え、その後の「国家」への関心、敗戦・占領期研究への契機ともなった歴史的名著。

目次

1 アメリカと私(適者生存;プリンストン;大学;城;パーティー;東と西;普林亭主人;学生たち;事件;別れ)
2 アメリカ通信(第一信;十月二十八日の午後;キューバ危機の中で;“不安な巨人”日本について;生きている“古さ”;合衆国と地方主義;深い南北の溝;冬と春の間;青春と凶器;海老原喜之助の回顧展;私の見たアメリカ;ケネディ以後;エリート;アメリカの古い顔;国家・個人・言葉;米国から欧州へ;学問の自由化)

著者等紹介

江藤淳[エトウジュン]
1932.12.25‐1999.7.21。批評家。東京生まれ。慶應義塾大学卒。大学在学中の1956年、『夏目漱石』を刊行。偶像化されてきた漱石像をくつがえし、その後の漱石研究の方向を示す。62年から数度にわたりアメリカに滞在、『アメリカと私』を生むとともに、のちの「国家」への関心や敗戦・占領期研究の契機ともなった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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yokmin

9
米国に対する恐怖、屈辱感(著名人でも当時そんな感情を持っていたのだ)をプリンストン滞在中に克服。アメリカ文化に対する観察眼は大げさなところもあるが、その分析は適確である。特にアメリカの歴史は、明治維新と敗戦という断絶があった日本よりも古いとの見方は、秀逸。私も実はそうなのではなかろうかと常日頃思っていただけに、賛同者現るの感あり(笑) 北部と南部における白人対黒人の微妙な関係の違い、なども興味深い。半世紀前に書かれた本でありながら、決して古さを感じさせない。2014/12/20

しゅん

8
1962~64年まで、江藤淳30代前半のアメリカ滞在記。江藤の「アメリカ」の具体的諸相(妻の体調不良からはじまる四苦八苦、イタリア移民の管理人爺さんの屈折、車社会のある種の情けなさなど)が見えたのが良かった。アメリカは古い伝統を、日本は新しい文化を誇りとするという認識を導くのはさすがの批評技術だし、国家の歴史と個人の歴史認識の長短が相関しないのは確かにそうだよなと感じる。ケネディ暗殺事件の話が出てくるが、ケネディを「スタイル」がすべてで、大物ではない人物と考えているのが興味深い。2021/02/04

yagian

5
江藤淳の考えにすべて同意する訳ではないし、大げさだなと思うこともあるけれど、アメリカに対する観察は納得できる。こういう言葉を読むと、勇気づけられる。「ここでは、いくらむきになって勉強しても、私はそれにてれる必要がなかった。孤独であることは、ここでは「悪」ではなくて、強さのしるしとされた。淋しい人間が周囲にいくらでもいる以上、淋しさは常態であって、特別な病気ではないからである。」2013/11/13

あさとかずゆき

1
ゴールドウォーターの躍進、人種差別と公民権運動のうねり、自分の悪にイノセンスなアメリカ人。江藤淳が見たアメリカと今のアメリカは大して変わってないようにも思えるところがすごい2021/10/26

左手爆弾

1
留学記で、外国で生活することによる主体の変容みたいなことを書いているのだが、森有正のフランス留学記などとは何か決定的に違う。それはかつて日本を負かしたアメリカへのコンプレックスのせいか。それもあるだろう。しかし、よくよく考えると日本がコンプレックスを持っていない国などない。そう思って読むと、筆者の狭い見解で「アメリカはこう/日本はこう」と区切ってしまっているように見える。結局、筆者はアメリカに行って何が変わったのだろうか。それまでの見方は根本的に変わったのだろうか。そのあたりが今ひとつわからなかった。2017/08/04

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