内容説明
晩年の谷崎潤一郎に12年間、口述筆記者として身近に接した伊吹和子は、著者ならでは知りえなかった谷崎の実像を整った日本語で冷静に記述する。谷崎の奇怪異様な心の奥の奥まで究め尽くし、世の通説に自信をもって異議を申し立てた労作。日本エッセイストクラブ賞受賞作。
目次
4の章 伊豆山雪後庵にて(『伊豆山放談』;ボクという犬 ほか)
5の章 『瘋癲老人日記』前後(「週刊新潮掲示板」;『若き日の和辻哲郎』 ほか)
6の章 『雪後庵夜話』前後(「わが小説」;『台所太平記』再開 ほか)
7の章 終焉まで(手術;「猫犬記」 ほか)
著者等紹介
伊吹和子[イブキカズコ]
1929年、京都市に生まれる。京都大学文学部国語学国文学研究室勤務を経て、1953年、谷崎潤一郎『新訳源氏物語』の原稿口述筆記を担当、引き続き中央公論社に入社。主に文芸書、文学全集等の編集に携わり、1984年、定年退職
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感想・レビュー
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AR読書記録
2
谷崎作品のモデル研究等の基礎知識がないため、ここに書いてあることにどう反応してよいかよくわからないのだけれど、若い娘の足に執着し、踏まれて喜ぶ老人なんかはお手伝いさんとの間に見られた光景(腰のコリをほぐすためにな)で、しかもそのお手伝いさんはその行為が作品に使われたとも知らず(しかしぜんぜん関係ない女性が、あれは私がモデルだと喧伝したとかしないとか)、なんていうのはなー。そんなもんだろうとも思うし、もっと劇的であってほしくもあった気もするし。それにしても著者の編集者としての仕事上の人間関係スゴイ。2016/03/26