内容説明
新作書下ろし短篇「沈黙」、単行本未収録作品「あしか」「月刊『あしか文芸』」「書斎奇譚」を含む32篇。大幅改稿の魅力的短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aloha0307
27
「カンガルー日和」「回転木馬のデッド・ヒート」所収の春樹さん曰く短編集ではなく、スケッチ風の小説集でありリアリズム文体の訓練 だそうです📕 それは「ノルウェイの森」という形で開花しましたし🌸最近の作品に到る春樹さんの提言の位相が粗削りながらあちこちに見られる、と言う意味で春樹ファンとしては必読書ではないでしょうか🕰️ 「レーダーホーゼン」が特に印象的です。繰り返し読んでもいろいろ思いが螺旋化し、ちょっと背筋がほの寒い❄️怖さがありました。2021/09/05
春ドーナツ
17
夕刻、私は雨宿りしながら本書を読んでいる。雨はなかなかやまなかった。ボーナス・トラックである「沈黙」に入った頃、外が静けさに包まれていることに気がついた。***「カンガルー日和」は高校生だったときに一度読んだきりだった。「回転木馬のデッド・ヒート」はたぶん4回目だと思う。そう言えば、収録作の中で「ハンティング・ナイフ」が好きだったことを思い出す。今回もその地位は揺らがなかった。三題噺ではないけれど、「複合的」「予兆」「展覧会」・・・これらの言葉を組み合わせて、その理由のようなものを探り出せそうな気がする。2019/07/11
sashawakakasu
7
あしか祭り、窓、かいつぶりが好きです。かいつぶり的ゴリ押し力は身に付けて損はないだろうか。いやいらないか。僕だったら諦めて引き返すような気がする。回転木馬収録作品は人生の無力感を感じれればそれでいい気がしないでもない。2020/08/30
志波昌明
6
「カンガルー日和」は、大学生の頃、新刊で買って読んだのが懐かしい。当時は、軽めの短編小説だと思って読んでたんだけど、全集付録の作者解題を読むと、村上春樹はスケッチとして書いていたんですね。村上春樹のエッセイに近い、軽妙洒脱な感じが好きです。2019/09/05
速読おやじ
6
「カンガルー日和」と「回転木馬のデッドヒート」という二つの短編集の作品。これらの作品は、初期頃だからこそ書かれたんだろうなというものも多く、荒削りだったり、相当肩の力が抜けていたりと、ある意味読者も構えずに読むことができる。学生の頃に読んで印象に残っているのは、「図書館奇譚」。影響されて、大昔に図書館を舞台にしたショートショートを書いたことがある。はい、若気の至りです(笑)とんがり焼きや、あしかの話も好きです。また小説の本質的なところじゃないけど、「野球場」に出てくる蟹の話は今でもなぜか映像的に覚えている2013/06/22