講談社文庫<br> 白い航跡〈上〉

講談社文庫
白い航跡〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 259p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061856790
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

明治初年、海軍・陸軍軍人の病死の最大原因は脚気であった。その予防法を確立し、東京慈恵会医科大学を創立した高木兼寛の不屈の信念と人類愛にみちた生涯を描く歴史ロマン―薩摩藩軍医として、戊辰戦争で見聞した西洋医学に兼寛は驚き、海軍に入ってからはイギリスに留学し、近代医学を修め、帰国する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

レアル

61
高木兼寛物語。奥羽戦争に兼寛が従軍した事により今の蘭学が全く役に立たない事を思い知る。この巻の前半は、鎖国時代最新医療とされてた蘭学から、実際蘭学よりも遥かに先進医療であり、かつ幕末の勝者薩摩の懇意の英西洋医学へ傾きかけたが、日本は独医学を採用する事となった時代背景が描かれている。そんな中主人公で薩摩の兼寛は英の西洋医学を学び、海軍軍医療首長という師を持つ影響もあり海軍に入り遂に英留学を果たす。陸軍省、文部省は独医学なのに海軍省だけが英医学の疑問がとけた。帰国後の兼寛の活躍が楽しみ。2017/07/26

がらくたどん

54
吉村昭を起点に派生読書をしていると何年でも保つと言っていた知人がいたが、生来気が多い自分でも読書をしていると大抵1回は関連本で吉村昭に行き当たる。今回は森志げさんの作品集関連で「文豪でないお家の・職場の林太郎」を読んできて、仕上げに軍医職時代の悪名高き脚気論争を論敵にして臨床医学の父ともいえる海軍医高木兼寛の視点から。上巻は幕末騒乱に薩摩藩の若手藩医として従軍し夥しい負傷者を前に処置の手札を欠く日本の藩医団と救急処置に優れた英国医師等の差に驚愕した兼寛が先進的な臨床医学を求めて英国修行の末に帰国するまで。2022/09/29

kawa

40
高木兼寛。脚気の治療法を研究し「ビタミンの父」と呼ばれた方だそうな。全く知らなかった明治の偉人。薩摩藩(宮崎県)出身、鳥羽・伏見の戦いから会津戦まで官軍の医師として従軍、医療知識や技術の貧困に発奮、本格的西洋医学を身につけるための前半生が上巻。戊申の役、鹿児島での修行、海軍軍医、ロンドン留学と、いつもながらの吉村流筆致に徐々に引き込まれる展開で下巻へ。2021/02/25

しおつう

26
先日、同著者の大作『ふぉんしーふぉるとの娘』読了にて、日本の西洋医学の幕開け時代についての様相を概ね理解することができた。今回、時代は少し下るが、まだまだ未熟な西洋医学を熟成させるべく奔走する高木兼寛の物語。これまで読んできた吉村昭作品の特徴をそのまま継承しており、特筆すべき点は見当たらないが、とにかく下巻へと続く。2017/02/03

まーみーよー

24
慈恵会医科大学を創立した高木兼寛を描いた歴史ロマン。上巻は、戊辰戦争から兼寛のイギリス留学まで。薩摩藩の大工の息子である兼寛が勉学に励み、才能を見いだされて中央にまで出世してゆくさまが素晴らしい。抜群の頭脳だけではなく両親や恩師始め、兼寛の周りの人間に恵まれていたところもあるのかな。明治時代初期、西洋医学をとりいれる際、ドイツ医学とイギリス医学のどちらを日本が採用していったのかが興味深かった。この辺は下巻に森鴎外がでてくるようなので関係あるのかしら。2021/07/07

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