内容説明
厳寒のオホーツク海で、映画づくりに精魂をかたむけるグループを襲った無惨な死。悪魔的殺人装置を、動かした者は誰か?必死な監督とスタッフの間に割り込んだ、怪しい出資者の正体は?映画完成後に起った新たな殺人事件は、愛憎の人間関係を明らかにするが…。情熱が滅びを呼ぶ、戦慄の長編推理小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
40
映画ロケ中に発生したスクリプター殺人事件、そしてその後の監督の死。被疑者は、監督にほれ込み資金を提供した二重人格の女性。美文で耽美な世界を描く著者の手によるミステリです。不可能犯罪ものですが、トリックそのものは新味に欠けています。ご当地ミステリぽいタイトルもいただけません。冒頭から、二重人格者の怯えが描かれるのですが、これが事件の本質にうまく絡み合っていません。ここが本作品の最大の違和感です。このキャラクターが、作品に怪しげなアクセントをつける試みだとすると失敗でしょう。”皆川博子マニア”向け作品ですね。2019/07/29
つっきー
6
30年以上前の皆川博子のミステリー小説。解説はなんと赤江瀑! こんな豪華な文庫本は、滅多に手に入るものではありません。 最近の皆川先生は西洋を舞台にした壮大な長編小説が多いので、本作の昭和の日本を色濃く映した作風は懐かしさもいっぱいでした。2018/09/03
影実
2
厳寒のオホーツク海で映画撮影中のスタッフが亡くなった事件。自殺か殺人か、殺人なら動機は何か。といった内容を情緒的に描いた推理小説。謎解きよりも雰囲気を味わう作品なのだろうけど、本紹介やあらすじが思いっきりネタバレしているのはどうなんだろう。2017/12/13
冬薔薇
2
ロケのため訪れた流氷の地で起きた殺人事件、弓子と靹子の謎、東京へ戻ってからの事件、謎を追う梶の執念。「解説」赤江瀑、で購入、やっと読了。「夢の気配、夢幻、宙空を飛んでこそ矢は矢であり、創造するとは飛翔する矢のこと。虚構の構築が小説の本質、その構築に思いを凝らす作家が皆川。」2013/05/02
ぱーぷる・ばんぶー
1
映画撮影中のチームのスクリプターがホテルの窓から突き落とされて殺される。犯人は撮影グループの中の誰かか?製作資金を出した女性が二重人格であることが冒頭から明かされているのだが…。2時間ドラマっぽいミステリー。2020/08/30